大学受験を意識し始めると、
「数学が苦手だから、そろそろ予備校に行った方がいいのでは?」
「高3になってからでは遅い?」
「高校1年生から通った方が有利?」
と悩む人も多いと思います。
特に数学は、英語などと並んで大学受験で大きな差がつきやすい科目です。
そのため、「大学受験をするなら、とりあえず予備校に行っておいた方がいい」と考えてしまうかもしれません。
しかし、数学については必ずしもそうとは限りません。
大切なのは、「いつから予備校に行くか」ではなく、「今の自分には何が足りていないのか」を考えることです。
この記事では、大学受験の数学を攻略するために予備校へ行く必要があるのか、行くのであればいつからが良いのかについて解説します。
大学受験の数学対策で予備校は必須ではない
最初に結論を言うと、大学受験の数学対策において、予備校は必須ではありません。
学校の授業を理解できていて、自分で問題集を進め、分からない問題を解説などで解決できるのであれば、予備校へ行かなくても大学受験の数学を勉強することはできます。
実際、大学受験の数学で必要なのは、
数学Ⅰ・A、Ⅱ・B・C、Ⅲなどの基本事項を理解する
基本的な問題を自力で解けるようにする
入試で頻出する典型問題を身につける
初めて見る問題に対して、持っている知識を使えるようにする
志望大学の過去問に対応できるようにする
という力です。
これらを自分で身につけられるのであれば、予備校に通うこと自体が目的になる必要はありません。
反対に、予備校に通っているからといって、数学ができるようになるとも限りません。
ここを間違えないことが非常に重要です。
予備校に行っても数学ができるようになるとは限らない
数学が苦手な高校生に特に注意してほしいのが、「授業を受けること」と「問題を解けること」は違うという点です。
予備校の授業を聞いて、
「なるほど」
「分かった」
と思うことはできます。
ところが、数日後に同じ問題を何も見ないで解いてみると、「最初に何をすればいいのか分からない」ということがあります。
これは珍しいことではありません。
数学で本当に必要なのは、「解説を理解することではなく、最終的に解説を見ないで自分で正解を出せるようになること」だからです。
例えば予備校で三角関数の授業を90分受けたとします。
その授業が非常に分かりやすかったとしても、それだけでは三角関数を習得したことにはなりません。
授業後に問題を解き、間違えた問題を復習し、数日後にもう一度解き、最終的には何も見ない状態で正解できるようにする。
ここまで行って初めて、入試で使える知識になっていきます。
数学が苦手な人ほど「授業を増やす」前に確認したいことがある
数学の成績が上がらないと、「もっと授業を受けなければ」と考えがちです。
しかし、数学が苦手な人の場合、授業不足ではなく演習不足や復習不足が原因になっていることがあります。
例えば、「授業→授業→授業→授業」と新しいことを習い続けていても、自分一人で問題を解く時間がほとんどなければ、数学はなかなか定着しません。
それよりも、
授業
↓
自分で解く
↓
間違える
↓
解説を確認する
↓
もう一度自分で解く
↓
数日後にもう一度解く
というサイクルを作る方が重要です。
大学受験では「知っているか」だけでなく、「問題を見たときに、その知識を自分で取り出して使えるか」が問われます。
その練習は、自分で問題を解かなければできません。
では、どんな人なら予備校へ行った方が良いのか
もちろん、予備校が必要ないという話ではありません。
予備校を利用した方が効率よく勉強できる人もいます。
学校の授業だけでは入試レベルまで届かない人
学校によって、数学の授業進度や扱う問題の難易度には違いがあります。
自分の志望大学で求められる数学と学校の授業との間に大きな差がある場合、予備校を利用する価値はあります。
特に難関大学を目指す場合、「学校で習った数学」から「入試問題を解くための数学」へ移行する必要があります。
その部分を予備校で補うのは一つの方法です。
自分で勉強の順番を決められない人
大学受験の数学では、学習範囲が非常に広くなります。
そのため、
「どの問題集から始めればいいのか」
「どこまでできれば次へ進んでいいのか」
「いつから過去問を始めればいいのか」
が分からなくなることがあります。
こうした学習計画を自分で立てることが難しい場合にも、予備校を利用するメリットがあります。
一人では勉強を継続できない
参考書や問題集を買っても、
・最初の数ページだけやって終わってしまう
・テスト前しか勉強しない。
・苦手な単元を後回しにしてしまう。
こうした場合には、定期的に授業がある環境に身を置くことにも意味があります。
逆に、数学が苦手だからこそ予備校選びに注意した方が良いケース
数学がかなり苦手な高校生の場合には、集団授業型の予備校へ行けば解決するとは限りません。
例えば高校2年生で、
「二次関数がよく分からない」
「三角比をほとんど忘れている」
「場合の数と確率が全然できない」
という状態だったとします。
この状態で、予備校の高校2年生向け大学受験講座に参加しても、授業についていけない可能性があります。
数学は前に習った内容を使って次の内容を理解する科目です。
数学Ⅰ・Aが十分に理解できていない状態で数学Ⅱ・B・Cを進めても、途中で分からなくなることがあります。
この場合に必要なのは、「現在の学年の授業を増やすことではなく、できなくなったところまで戻ること」かもしれません。
大学受験の数学対策で予備校へ行くならいつから?
では、予備校へ行く場合、いつから通えば良いのでしょうか。
これについては、「高校○年生から」という一律の答えはありません。
現在の学力と志望大学によって変わります。
高校1年生から予備校へ行った方が良い人
高校1年生から予備校へ通うメリットは、数学を早い段階から積み上げられることです。
特に、
難関大学を目指している
数学を入試で重要科目として使う
学校より速いペースで勉強したい
高校数学を早めに完成させたい
という人であれば、高1から予備校を利用する意味があります。
一方で、「周りが行っているから」という理由だけで通う必要はありません。
学校の数学を十分理解できているのであれば、高1の段階では学校の授業と問題集をしっかり完成させるという選択肢もあります。
高校2年生は大学受験数学を本格的に考えたい時期
高校2年生になると、数学Ⅱ・B・Cなど大学受験で重要になる内容が増えてきます。
この時期に確認したいのは、数学Ⅰ・Aの内容をどの程度自力で解けるかです。
例えば、「習ったときにはできたけれど、今はほとんど忘れている」という状態なら注意が必要です。
高校3年生になってから数学Ⅰ・Aを大幅にやり直しながら、数学Ⅱ・B・C、さらに理系なら数学Ⅲまで勉強するのは大変です。
高2の段階で数学の苦手が明確になっているのであれば、予備校へ行くかどうか以前に、一度これまでの数学を総点検することをおすすめします。
その結果、「自力では立て直すのが難しい」と判断したのであれば、予備校などを利用するタイミングとしては十分考えられます。
高校3年生から予備校へ行くのでは遅い?
高校3年生からでも、予備校へ通う意味はあります。
ただし、「高3から予備校へ行けば何とかなる」と考えるのは危険です。
重要なのは、高3になった時点でどの程度の数学力があるかです。
例えば、「数学Ⅰ・A、Ⅱ・B・Cの基本問題ならある程度自力で解ける」という状態なら、予備校で入試レベルの演習を進めることで大きく伸びる可能性があります。
一方、
中学校の方程式や関数にも不安がある
↓
数学Ⅰ・Aも十分理解できていない
↓
数学Ⅱ・B・Cも分からないところが多い
という状態では、高3向けの大学受験講座を受けるだけでは解決しない可能性があります。
この場合には、志望校から逆算して「捨てるもの」と「優先するもの」を決める必要があります。
「いつから予備校へ行くか」より「いつまでに基礎を完成させるか」を考える
大学受験数学では、こちらの方が重要です。
例えば高3になって、
「これから数学Ⅰ・Aを基礎から全部勉強します」
という状態と、
「数学Ⅰ・A、Ⅱ・B・Cの基本問題は解けるので、これから入試演習をします」
という状態では、同じ高校3年生でもスタート地点がまったく違います。
そのため、予備校へ行く時期ではなく、「入試から逆算して学習段階を考えること」をおすすめします。
イメージとしては、
基礎事項の理解
↓
基本問題を自力で解ける
↓
典型問題を自力で解ける
↓
複数単元が混ざった問題を解く
↓
志望校レベルの問題を解く
↓
過去問演習
という流れです。
自分が今どこにいるのかを確認してください。
予備校選びでは「授業の分かりやすさ」だけで決めない
体験授業を受けると、「この先生の授業、すごく分かりやすい!」と感じることがあります。
もちろん、分かりやすい授業は大切です。
しかし大学受験数学で結果を出すためには、それだけでは足りません。
確認したいのは、「授業を受けた後に、自分で解けるようになる仕組みがあるか」です。
例えば、
復習する仕組みがあるか
演習量を確保できるか
理解できていない単元まで戻れるか
質問できるか
自分の志望校に必要なレベルと講座が合っているか
定期的に「何も見ないで解けるか」を確認できるか
などを確認すると良いでしょう。
予備校の目的は「良い授業を受けること」ではありません。
最終的に入試問題を自分一人で解けるようになることです。
ここから逆算して選ぶことが重要です。
数学が苦手な人は予備校へ行く前に「現在地」を調べよう
数学が苦手な高校生には、まずこれをおすすめします。
例えば高校2年生だからといって、高校2年生の問題だけを確認する必要はありません。
数学Ⅰ・Aまで戻って、
「二次関数は解けるか」
「三角比は解けるか」
「場合の数・確率は解けるか」
と確認します。
必要なら中学校の数学まで戻ります。
ここで大事なのは、「見たことがあるか」ではなく「何も見ないで正解できるか」です。
・解説を見れば分かる。
・公式を見れば解ける。
・先生にヒントをもらえばできる。
これらは、まだ入試で得点できる状態とは言えません。
入試本番には解説もヒントもありません。
したがって、「自力で正解を出せる問題をどれだけ増やせるか」を基準に現在の学力を判断する必要があります。
予備校・個別指導・家庭教師・独学のどれが良い?
大学受験数学の勉強方法は、予備校だけではありません。
大まかに考えると、予備校の集団授業は、ある程度基礎ができていて、決められたカリキュラムに沿って学習を進められる人に向いています。
個別指導や家庭教師は、苦手単元まで戻りたい場合や、自分の学力・志望校に合わせて学習内容を変える必要がある場合に向いています。
独学は、自分で現在の学力を判断し、教材を選び、学習計画を立て、復習まで継続できる人に向いています。
どれが一番優れているという話ではありません。
重要なのは、「自分ができない原因を解決できる方法か」ということです。
よくある質問集
Q1. 大学受験の数学対策に予備校は必須ですか?
必須ではありません。学校の授業を理解し、自分で問題集を進め、間違えた問題を復習できるのであれば、独学でも大学受験数学の対策は可能です。
重要なのは予備校へ通っているかではなく、入試問題を自分一人で解ける力が身についているかです。
Q2. 大学受験の予備校にはいつから通うのが良いですか?
「高校○年生から」と一律に決める必要はありません。
志望大学のレベル、現在の数学力、学校の進度などによって適切な時期は変わります。
特に数学が苦手な場合には、「いつから通うか」よりも、現在どの単元まで自力で解けるのかを確認することが先です。
Q3. 高校3年生から予備校に通うのでは遅いですか?
必ずしも遅くありません。
数学Ⅰ・A、Ⅱ・B・Cなどの基本問題をある程度解けるのであれば、高3から入試演習を本格化させることもできます。
一方で、数学Ⅰ・Aの基礎から大きくつまずいている場合は、高3向けの授業を受けるだけでは十分でない可能性があります。
Q4. 数学が苦手な場合は集団予備校と個別指導のどちらが良いですか?
現在の学力によります。
予備校の授業についていける基礎力があり、決められたカリキュラムで勉強できる場合は集団授業も選択肢になります。
一方、数学Ⅰ・Aや中学校数学まで戻る必要がある場合には、自分の理解度に合わせて学習内容を変更できる個別指導や家庭教師の方が適していることがあります。
Q5. 数学が苦手でも大学受験に間に合いますか?
現在の学年だけでは判断できません。
大切なのは、志望大学で必要な数学のレベルと現在の学力との差を確認することです。
苦手だからといって問題集を最初からすべてやり直すのではなく、どこから理解できなくなったのかを特定し、必要なところまで戻ることが重要です。
Q6. 予備校に通っているのに数学の成績が上がらないのはなぜですか?
よくある原因の一つが、授業を受けることが勉強の中心になっていることです。
数学では、「授業を理解する → 自分で問題を解く → 間違いを直す → 何も見ずにもう一度解く」という過程が必要です。
「授業を聞けば分かる」のに「一人では解けない」という場合には、授業を増やすより自力で解く練習を増やした方が良いケースがあります。
まとめ|大学受験数学では予備校に行くこと自体を目的にしない
大学受験の数学対策として、予備校は有効な選択肢の一つです。
しかし、
「大学受験をするから予備校へ行く」
「数学が苦手だから予備校へ行く」
だけでは、十分ではありません。
まず確認してほしいのは、「現在、自分一人でどのレベルの問題まで正解できるのか」ということです。
そのうえで、
「学校と独学で十分なのか」
「入試レベルの授業が必要なのか」
「基礎まで戻る必要があるのか」
「自分専用の学習計画が必要なのか」
を考えます。
そして予備校へ行くのであれば、「何年生から通うか」よりも、「予備校を使って何をできるようにするのか」を明確にしましょう。
大学受験数学で最終的に必要なのは、「先生の説明を理解できる力ではなく、試験会場で問題を渡されたときに、自分一人で考えて正解を出せる力」です。
授業、参考書、問題集、予備校、個別指導、家庭教師。
これらはすべて、その力を身につけるための手段です。
自分の現在地と志望校までの距離を確認し、その距離を埋めるために必要な方法を選ぶことが、大学受験の数学攻略では最も大切です。
