「理系を希望しているけれど、高1から大学受験の勉強を始めたほうがいいのだろうか」
「学校の勉強だけで大丈夫なのか、それとも受験用の参考書も始めたほうがいいのか」
「数学・英語・理科のうち、どの科目を優先すればいいのか分からない」
高校1年生のお子さんを持つ保護者の方からすると、大学受験まではまだ時間がある一方で、理系を希望しているなら高1から何をしておけばよいのかは気になるところだと思います。
特に理系では、数学・英語だけでなく、高2以降になると物理・化学などの理科の学習量も増えていきます。
そのため、高1の大学受験の勉強計画では、すべての受験科目を同じように進めるのではなく、高2以降の学習につながる数学・英語の基礎を作っておくことが重要です。
ただし、ここでいう「基礎を作る」とは、参考書を何冊も終わらせたり、学校より先の単元まで急いで進めたりすることではありません。
たとえば数学であれば、
- 学校で習った基本問題を、解説を見ずに解けるか
- 公式を覚えているだけでなく、どの場面で使うのか分かっているか
- 数日後に同じような問題を出されても解けるか
- 中学数学の内容につまずきが残っていないか
といったことを確認する必要があります。
高1の段階では、「どこまで先に進んだか」より、「習ったところまでをどの程度自力で使えるようになっているか」を確認することが大切です。
この記事では、数学専門の家庭教師として高校生を指導してきた経験をもとに、理系を目指す高1が大学受験に向けてどのような勉強計画を立てればよいのかを解説します。
数学・英語・理科の優先順位から、年間の学習スケジュール、1日の勉強時間、1週間の計画、模試の活用方法まで順番に見ていきます。
難関大学や国公立大学を検討している場合についても触れますので、「高1の今、何を優先すればよいのか」を整理する材料にしてください。
理系の大学受験勉強は高1から何を始めればいい?
理系の大学受験を考える高1では、難しい参考書や先取り学習を急いで始めるより、まず学校で習っている数学・英語を中心に、「解説を見ずに自力でできる範囲」を増やしていくことを優先します。
高1から大学受験の勉強計画を立てようとすると、
「難関大学を目指すなら、もう受験勉強を始めたほうがいい?」
「数学は学校より先に進めたほうがいい?」
「英語や理科は、どのくらいやればいい?」
「まだ志望大学が決まっていないけれど大丈夫?」
と迷うことがあります。
しかし、高1の段階で最初に考えたいのは、大学受験用の勉強をどれだけ増やすかではありません。
まず確認したいのは、学校で現在習っている内容が、どの程度自分の力で使えるようになっているかです。
たとえば数学なら、
- 授業を聞けば分かる
- 教科書を読めば分かる
- 例題の解説を見れば分かる
という状態と、
- 何も見ずに基本問題を解ける
- 類題でも同じ考え方を使える
- 単元名が書かれていなくても必要な解き方を選べる
という状態は違います。
理系では、この先も数学・理科の新しい内容を積み上げていきます。
そのため高1では、
「どこまで先に進んだか」より、「習ったところまでをどの程度自力で使えるようになっているか」
を確認しながら勉強を進めることが大切です。
高1の最初に志望大学・学部まで決める必要はある?
高1の最初から志望大学を一校に決める必要はありません。
ただし、「国公立か私立か」「どのような理系学部に興味があるか」くらいは考え始めておくと、その後の科目選択や勉強計画を立てやすくなります。
高1では、大学についてまだ十分に知らない生徒もいます。
その段階で、
「第一志望を決めなければ」
と急ぐ必要はありません。
まずは、
- 工学部
- 理学部
- 情報系
- 農学系
- 薬学系
- 医療系
など、興味のある分野を調べるところから始めても構いません。
そのうえで、候補となる大学・学部について、
- 入試科目
- 共通テストで必要になる科目
- 個別試験で必要になる科目
- 数学の出題範囲
- 理科の必要科目数
- 各科目の配点
などを少しずつ確認していきます。
ここで大切なのは、志望校を早く決めることそのものではなく、「将来どの科目が必要になりそうなのか」を知ることです。
たとえば国公立理系を考えるのであれば、数学・英語・理科だけでなく、共通テストで利用する国語・地歴公民・情報なども考える必要があります。
一方、私立理系でも、大学・学部・入試方式によって必要な科目や配点は異なります。
そのため、
興味のある大学・学部を調べる
↓
必要な受験科目を確認する
↓
高1で何を優先するか考える
という順番で十分です。
実際の受験科目や配点を調べるときには、受験情報サイトだけで判断せず、各大学が公表している最新年度の入学者選抜要項・募集要項を確認してください。
高1では志望校を一校に固定することより、「どのような大学・学部を目指す可能性があるのか」を考え、必要になる科目を把握し始めることが大切です。
理系を目指すなら高1ではどの科目を優先して勉強する?
理系を目指す高1生は、数学・英語を継続して学習できる状態を作り、理科は学校で習っている内容を確実に理解することを基本にします。
そのうえで、志望大学の入試科目・配点と本人の得意不得意に応じて優先度を調整します。
これは、
「理系だから数学だけをたくさん勉強する」
という意味ではありません。
私が高1の学習計画を考える場合は、おおむね次のように整理します。
| 科目 | 高1での基本的な考え方 |
|---|---|
| 数学 | 学校で習った内容について、基本問題を解説なしで解ける範囲を増やす |
| 英語 | 英単語・文法などの基礎を継続し、学校で扱った英文を自分で読めるようにする |
| 理科 | 学校で履修している内容を理解し、基本問題で使えるようにする |
| 国語・地歴公民・情報 | 特に国公立理系を考える場合は、学校の授業・定期テストを利用して基礎を維持する |
特に数学では、先取りより先に、現在の理解度を確認します。
たとえば学校で新しい単元へ進んでいても、以前習った内容の基本問題を解説なしでは解けないのであれば、その部分は復習が必要です。
さらに、高校数学でつまずいている原因が中学数学にある場合には、必要なところまで戻ります。
実際の指導でも、数Aの「図形の性質」にある方べきの定理が分からないと相談されたことがあります。
そこで方べきの定理をもう一度公式として覚えてもらうのではなく、図を見ながら対話し、中学校で学習した円周角や相似とのつながりを本人に考えてもらいました。
すると、
「方べきの定理は、公式として無理に覚えなくてもよい」
と本人が納得し、理解することができました。
高校数学の学習では、新しく出てきた公式をすべて別々に暗記するのではなく、以前習った数学と結びつけて理解できるかも大切です。
一方で、数学の復習に時間が必要だからといって、英語を完全に止めるのもおすすめしません。
英単語や英文法などは短時間でも継続し、高2以降に数学・理科の学習量が増えたとき、英語の基礎まで最初からやり直さなくて済む状態を作っておきます。
科目の優先度は固定された順位ではありません。
「志望校で必要になる科目」と「現在どこにつまずいているか」の両方から決めることが大切です。
学校の定期テスト対策と大学受験勉強は別に考える?
高1では、学校の定期テスト対策と大学受験勉強を完全に別のものとして考える必要はありません。
まず学校で習った内容を自力で使えるようにすることが、大学受験に向けた基礎学習にもなります。
大学受験の勉強を始めると聞くと、学校の教科書や問題集とは別に、
「大学受験用の参考書を買わなければ」
と考えることがあります。
しかし、学校の授業内容を十分に理解できていない状態で参考書を増やしても、学習する教材が増えるだけになることがあります。
私が高校生を指導していてよく見るのが、学校の問題集を進めてはいるものの、例題の解説を読んだところで学習を終えてしまっているケースです。
本人は、
「今日はここまで勉強した」
「この単元は終わった」
と思っていても、確認すると、例題の下にある類題を自力で解いていなかったり、節末問題まで取り組んでいなかったりします。
これでは、例題と同じ形なら理解できても、テストで少し違う形の問題が出たときに、自分で解き方を選べるかどうかを確認できません。
そのため私は、
例題で考え方を理解する
↓
解説を閉じて類題を解く
↓
間違えた原因を確認する
↓
節末問題などで複数の内容から解き方を選ぶ
↓
数日後にもう一度確認する
というところまでを一つの学習として考えています。
学校の定期テストも、この定着度を確認する機会として利用できます。
ただし、定期テストでは出題範囲があらかじめ分かっています。
大学入試や模試では、問題を読んで、
「これは何を使って解く問題なのか」
を自分で考えなければならない場面が増えます。
そのため、基本問題ができるようになったら、単元ごとの練習だけで終わらせず、節末問題や複数単元を混ぜた問題なども使って、解き方を自分で選ぶ練習へ進みます。
つまり、高1では、
学校の勉強か、大学受験勉強か
と分けるより、
学校で習う
↓
基本問題を自力で解けるようにする
↓
類題・節末問題で定着を確認する
↓
定期テストや模試で確認する
↓
できなかったところを復習する
という流れを作るほうが重要です。
保護者の方も、
「大学受験用の参考書を何冊やっているか」
「学校よりどこまで先取りしているか」
だけを見る必要はありません。
むしろ、
「今学校で習っている数学は、教科書や解説を見なくても自分で解ける?」
と聞いてみてください。
そこで解けない問題が多いのであれば、新しい参考書を増やす前に、現在使っている教科書・問題集の基礎を確認する必要があります。
大学受験に向けて最初に行いたいのは、受験用教材を増やすことではありません。
学校で習っている数学・英語を中心に、「理解した内容を自力で使う→できなかったところを復習する」という学習習慣を作ることです。
理系進学に向けて高1の最初に確認したいチェックリスト
高1から大学受験を意識した勉強を始めるときは、新しい参考書を買う前に、現在の学校の勉強や家庭学習がどのような状態になっているかを確認してみてください。
次の項目は、すべてにチェックが入っている必要はありません。
チェックが入らないところを見つけて、「高1の今、何から勉強すればよいのか」を考えるために使います。
| 確認すること | チェック |
|---|---|
| 学校の数学の授業内容をおおむね理解できている | □ |
| 数学の基本問題を、解説を見ずに解ける | □ |
| 数学で分からない単元を本人が把握している | □ |
| 必要であれば中学数学まで戻って復習している | □ |
| 例題を読むだけでなく、類題を自力で解いている | □ |
| 学校の問題集で節末問題などにも取り組んでいる | □ |
| 英単語・英文法などの学習を継続している | □ |
| 学校で習っている英文を自分で読み直している | □ |
| 学校で履修している理科の内容を復習している | □ |
| 定期テストで間違えた問題を解き直している | □ |
| 間違えた理由を「計算ミス」だけで終わらせず確認している | □ |
| 平日に家庭学習をする習慣がある | □ |
| 興味のある大学・学部について少しずつ調べている | □ |
| 国公立・私立のどちらを考えているか、ある程度方向が見えている | □ |
| 候補となる大学・学部で必要になる受験科目を確認し始めている | □ |
チェックが少なかったとしても、すぐに勉強時間を増やしたり、大学受験用の参考書を追加したりする必要があるとは限りません。
たとえば、
「数学の基本問題を、解説を見ずに解ける」
にチェックが入らなかったのであれば、まず現在使っている教科書や学校の問題集を使って、どの単元から自力で解けなくなっているのかを確認します。
「例題を読むだけでなく、類題を自力で解いている」にチェックが入らなければ、参考書を変える前に、例題を理解したあとに解説を閉じて類題を解くという勉強方法へ変えてみます。
また、
「定期テストで間違えた問題を解き直している」
にはチェックが入っていても、
「間違えた理由を確認している」
にはチェックが入らないことがあります。
この場合も、
「次はミスしないように気をつける」
だけで終わらせず、
- 問題文を読み飛ばした
- 数字や符号を見間違えた
- 公式の意味を理解していなかった
- 公式は知っていたが、使うと判断できなかった
- 前に習った内容を忘れていた
など、どの段階で解けなくなったのかを確認します。
保護者の方が細かな数学の内容まで教える必要はありません。
まずは、
「今は何をできるようにするために勉強しているの?」
と聞いてみてください。
本人が、
「数Ⅰのこの単元を解説なしで解けるようにする」
「英単語を毎日復習して、学校の英文を読めるようにする」
「定期テストで間違えた問題を、何も見ないでもう一度解けるようにする」
などと答えられるのであれば、現在取り組んでいる勉強の目的が具体的になっています。
反対に、
「とりあえず問題集を進めている」
「塾で言われたところまでやっている」
「毎日2時間勉強することにしている」
という状態なら、勉強量を増やす前に、「何をできるようにするための勉強なのか」を一度整理することをおすすめします。
大学受験勉強では、このチェックリストをすべて埋めることが目的ではありません。
チェックが入らなかった項目から、今のお子さんに必要な勉強を一つずつ見つけていくために使ってください。
科目別「英語・数学・理科」のチェックリスト
高1から大学受験を意識した勉強を始めるときは、新しい参考書を増やす前に、数学・英語・理科について現在どこまでできているのかを確認してみてください。
すべてにチェックが入っている必要はありません。
チェックが入らなかったところから、「高1の今、何を優先して勉強する必要があるのか」を考えます。
数学のチェックリスト
| 確認すること | チェック |
|---|---|
| 学校の数学の授業内容をおおむね理解できている | □ |
| 教科書・学校問題集の基本問題を解説なしで解ける | □ |
| 例題を読むだけで終わらず、類題を自力で解いている | □ |
| 節末問題など、単元名が分からない問題にも取り組んでいる | □ |
| 間違えた問題を、解説を閉じてもう一度解いている | □ |
| 数日後に同じ問題・類題を解いて定着を確認している | □ |
| 公式を覚えるだけでなく、なぜ使うのかを理解している | □ |
| 問題を見て、必要な公式や考え方を自分で選べる | □ |
| 数学で苦手な単元を本人が把握している | □ |
| 必要であれば中学数学まで戻って復習している | □ |
特に確認したいのは、
「学校で習った」=「自分で解ける」
になっていないかです。
授業では理解できていても、教科書や解説を閉じると基本問題を解けないのであれば、まずはその単元を自力で解けるところまで復習します。
また、高校数学が分からない原因が、必ずしも現在の単元にあるとは限りません。
実際の指導でも、先ほど述べたように、数Aの「図形の性質」において、方べきの定理が分からなかった生徒と対話していくと、中学校で習った円周角や相似とのつながりに本人が気づき、
「方べきの定理は公式として無理に覚えなくてもよい」
と理解できたことがあります。
数学でチェックが少ない場合は、新しい参考書や先取りを増やすより、「どこから自力で解けなくなっているのか」を確認することを優先します。
英語のチェックリスト
| 確認すること | チェック |
|---|---|
| 英単語の学習を継続している | □ |
| 一度覚えた英単語を定期的に復習している | □ |
| 学校で習った基本的な英文法を理解している | □ |
| 文法問題を答えの暗記だけで終わらせていない | □ |
| 英文の主語・動詞などを確認しながら読める | □ |
| 学校で扱った英文を自分で読み直せる | □ |
| 定期テストで間違えた文法・読解問題を復習している | □ |
| 英語をほとんど勉強しない日が何日も続いていない | □ |
理系志望の場合、数学に時間を取られて英語の学習が後回しになることがあります。
しかし、高2以降に数学や理科の学習量が増えてから、
「英単語をかなり忘れている」
「英文法を最初からやり直さなければならない」
という状態になると、理系科目と英語のやり直しを同時に進めることになります。
そのため高1では、長時間でなくても、英単語・英文法などの基礎学習を継続することを重視します。
理科のチェックリスト
| 確認すること | チェック |
|---|---|
| 学校で履修している理科の授業内容を理解している | □ |
| 定期テスト前だけでなく、普段から復習している | □ |
| 基本的な用語や法則の意味を説明できる | □ |
| 公式を覚えるだけでなく、何を表しているのか理解している | □ |
| 学校の基本問題を自力で解ける | □ |
| 定期テストで間違えた問題を解き直している | □ |
| 理系でどの理科科目が必要になりそうか確認している | □ |
| 候補となる大学・学部の理科の受験科目を確認し始めている | □ |
高1から物理・化学をどんどん先取りする必要があるとは限りません。
まずは、学校で現在習っている理科について、用語や公式を覚えただけではなく、基本的な問題で使える状態になっているかを確認します。
学校の内容が安定しており、志望大学・学部で必要になる理科科目も分かってきた段階で、必要に応じて次の学習を考えます。
大学受験を見据えたチェックリスト
最後に、科目以外についても確認しておきます。
| 確認すること | チェック |
|---|---|
| 平日に家庭学習をする習慣がある | □ |
| 定期テストで間違えた原因を確認している | □ |
| 模試の偏差値・判定を見るだけで終わっていない | □ |
| 興味のある大学・学部について調べ始めている | □ |
| 国公立・私立のどちらを考えているか、ある程度方向が見えている | □ |
| 候補となる大学・学部の受験科目を確認し始めている | □ |
| 国公立志望なら国語・地歴公民・情報も学校学習で維持している | □ |
数学・英語・理科のどこに課題があるのかを確認し、今必要な勉強から一つずつ始めるために使ってください。
理系に行くなら高1の1年間の勉強計画をどう立てる?

理系の高1の年間勉強計画は、「何月までに参考書を何冊終わらせるか」ではなく、1学期・夏休み・2学期・冬休み〜春休みの区切りごとに、「何を自力でできるようにするのか」を決めて立てます。
高1の4月に、
「夏までに数Ⅰ・Aを終わらせる」
「高1のうちに数Ⅱ・B・Cまで進める」
「この参考書を○月までに終わらせる」
と1年間の予定を細かく決めても、そのとおりに進むとは限りません。
学校によって数学や理科の進度は違いますし、定期テストや模試を受けて初めて分かる苦手もあります。
また、予定どおり参考書が進んでいても、以前学習した問題を解説なしで解けなくなっていれば、そのまま次へ進むより復習を優先したほうがよい場合があります。
そのため、高1では1年間の予定を完全に固定するのではなく、
年間のおおまかな予定を立てる
↓
学期ごとに目標を決める
↓
1週間単位の勉強へ落とし込む
↓
定期テスト・模試などで定着度を確認する
↓
必要なら次の予定を変更する
という形で考えます。
高1の勉強計画は「予定を守るための計画」ではなく、学習した内容を自力で使えるようにするための計画として作ることが大切です。
高1の1学期は何を優先する?
高1の1学期は、大学受験用の勉強を急いで増やすより、高校の授業についていくことと、数学・英語を中心とした家庭学習の習慣を作ることを優先します。
中学校から高校へ進むと、数学・英語ともに学習する内容が増えていきます。
特に数学では、高校で新しく習った内容につまずいているように見えても、原因を確認すると、
- 式の計算
- 方程式・不等式
- 関数
- 図形
- 平方根
など、中学校までの内容が十分に使えていないことがあります。
この場合、高校の問題集だけを繰り返すより、必要な中学数学まで戻ったほうがよい場合があります。
ただし、中学数学を最初から全部やり直す必要はありません。
現在解けない問題を確認して、
「この問題を解くためには、何ができている必要があるのか」
を考え、必要なところまで戻ります。
一方、英語は英単語・英文法などの基礎学習を継続します。
理科については、高1から一律に大学受験用の問題集を始めるのではなく、まず学校で履修している内容について、
- 授業内容を理解できているか
- 用語や法則の意味が分かっているか
- 基本問題を自力で解けるか
を確認します。
1学期の段階では、
「大学受験の参考書をどこまで進めたか」より、「学校で習った内容を家庭で復習する習慣ができたか」
を確認してください。
1学期に確認したいこと
□ 数学の授業についていけている
□ 数学の基本問題を解説なしで解いている
□ 必要なら中学数学まで戻っている
□ 英単語・英文法を継続している
□ 学校で習った英文を読み直している
□ 理科の授業内容を復習している
□ 定期テストで間違えた原因を確認している
□ 平日に家庭学習する習慣ができている
1学期は、高校3年間の勉強の進め方を作る時期と考えるとよいでしょう。
高1の夏休みは何を勉強する?
高1の夏休みは、新しい参考書や先取り学習を始める前に、1学期に学習した内容の中から「解説なしでは解けないところ」を見つけて復習することを優先します。
夏休みはまとまった時間を取りやすいため、
「ここで一気に先取りしよう」
と考えることがあります。
もちろん、1学期の内容が十分に定着しているのであれば、学校の進度や志望校に応じて先へ進んでも構いません。
しかし、先取りを始める前に、一度1学期の内容を確認してください。
数学なら、教科書や学校の問題集から以前解いた問題を選び、
解答・解説を見ない状態で解いてみます。
ここで解けなかった問題については、すぐに答えを覚え直すのではなく、
- 公式や考え方そのものを理解していない
- 公式は知っているが、この問題で使うと判断できない
- 計算途中で間違える
- 問題文の条件を読み落としている
- 前提となる内容を忘れている
など、原因を分けます。
そして、
解けなかった問題を確認する
↓
必要なら教科書・基本例題まで戻る
↓
解説を閉じてもう一度解く
↓
類題を解く
↓
数日後にもう一度解く
という順番で復習します。
私の指導でも、一度正解しただけでは「できるようになった」とは判断していません。
理解した直後に自力で解き、同じ問題や類題を家庭学習として取り組んでもらい、次の指導日にはその中からこちらで問題を選んで、もう一度解いてもらいます。
そこで、解説なしでも必要な考え方を自分で選んで解けるかを確認します。
夏休みも同じように、「復習したページ数」ではなく、休みの前には解けなかった問題が、自力で解けるようになったかで成果を確認します。
英語では、1学期に学習した英単語・英文法を復習し、学校で扱った英文をもう一度読んでみます。
理科も、学校で学習した単元について、用語や公式を覚え直すだけではなく、基本問題で使えるかを確認します。
夏休みは「先へ進むための期間」と決めつけず、1学期に見つかった弱点を高1後半へ持ち越さないための期間としても利用してください。
高1の2学期は大学受験に向けて何を進める?
高1の2学期は、学校で新しく習う内容を学習しながら、1学期・夏休みに学習した内容を忘れていないか確認する時期です。
2学期になると数学・英語・理科でも新しい内容が増えていきます。
ここで注意したいのが、
「今学校で習っている単元だけを勉強する」
という状態です。
定期テストでは出題範囲が決まっているため、その単元の問題だけを繰り返していれば解ける問題もあります。
しかし、大学受験や模試では、
「これは○○の単元の問題です」
と教えてもらえるわけではありません。
問題を読んで、
「何を使って解けばよいのか」
を自分で考える必要があります。
そのため2学期からは、現在習っている単元の基本問題に加えて、以前学習した内容も少しずつ混ぜていきます。
数学なら、
新しい単元の基本問題
+
以前間違えた問題
+
複数単元から出題される節末問題など
という組み合わせです。
私の指導でも、一つの単元を学習したあとには、単元名が分からない状態で問題を出し、本人が必要な考え方を選べるかを確認しています。
また、2学期の定期テストや模試で新しい弱点が見つかったら、最初に作った年間計画にこだわらず、予定を変更します。
たとえば、
「予定では冬から次の参考書へ進む」
としていても、基本問題を自力で解けない単元が多く残っているのであれば、先へ進む時期をずらして復習を入れます。
2学期は、新しい内容を増やすだけではなく、「以前習った内容を忘れずに使えるか」を確認しながら学習することが重要です。
高1の冬休み・春休みまでに何ができればいい?

高1の冬休みから春休みには、高1で習った内容について「できている単元」と「高2でも復習が必要な単元」を分け、高2の学習へ進める準備をします。
目標は、
「数Ⅰ・Aを全部完璧にする」
「数Ⅱ・B・Cまで先取りする」
と一律に決めることではありません。
学校によって数学の進度も異なるため、実際に高1で学習した範囲について、基本問題を自力で解けるかを確認します。
数学では、たとえば、
- 基本的な公式や定理の意味を理解している
- 教科書・学校問題集の基本問題を解説なしで解ける
- 類題でも同じ考え方を使える
- 複数の公式や考え方から必要なものを選べる
- 苦手な単元を本人が把握している
- 必要なら前提となる中学数学まで戻れる
といった状態を目指します。
ここでも、すべての単元を完璧にしてから高2へ進む必要はありません。
大切なのは、
「できているところ」と「高2になっても復習を続けるところ」が分かっていること
です。
英語についても、英単語・英文法の学習を継続し、高1で学校が扱った英文を自分で読み直せるか確認します。
理科は、高1で履修した内容の基本事項を復習します。
また、高1の終わりには、興味のある大学・学部について入試科目や配点を確認し始めると、高2でどの科目に時間をかける必要があるのかを考えやすくなります。
国公立理系を考えている場合は、数学・英語・理科だけでなく、共通テストで必要になる国語・地歴公民・情報なども確認しておきます。
高1の年間勉強スケジュール
ここまでを1年間の流れにすると、次のようになります。
| 時期 | 主な学習内容 | 確認すること |
|---|---|---|
| 1学期 | 学校の授業、数学・英語の基礎、理科の学校学習、必要に応じて中学内容の復習 | 学校の授業を理解し、基本問題を自力で解けるか |
| 夏休み | 1学期の総復習、苦手単元のやり直し、英単語・英文法の復習 | 解説なしで解けない問題が残っていないか |
| 2学期 | 新しい学習+以前の苦手の復習+複数単元の問題 | 以前習った内容を忘れず、必要な解き方を自分で選べるか |
| 冬休み | 2学期までの弱点整理、高1範囲の定着確認 | 苦手な単元と、その原因を本人が把握しているか |
| 春休み | 高1の総復習、高2への準備、必要に応じた先取り | 「できている内容」と「高2でも復習する内容」を分けられているか |
この表も、全員が同じペースで進むためのスケジュールではありません。
学校の進度、部活動、現在の学力、志望大学によって調整します。
たとえば夏休みの時点で数学の基本問題が十分に解けている生徒なら、次の内容へ進む時間を増やせます。
反対に、1学期の内容に理解不足が多く残っているのであれば、夏休みの多くを復習に使っても構いません。
年間計画は定期テスト・模試の結果を見て修正する
高1の年間計画は、4月に決めた予定を最後まで守ることより、定期テストや模試で見つかった課題に応じて修正することが大切です。
実際に指導した高校1年生に、数学で見間違い・書き間違い・問題文の読み飛ばしが非常に多い生徒がいました。
学校では高1の段階で数Ⅱまで進んでおり、中間テストでは「図形と方程式」を学習していました。
解き方そのものをまったく理解していないわけではありませんでしたが、途中の見間違いや書き間違い、条件の読み飛ばしなどが重なり、中間テストは40点でした。
そこで、新しい問題や解き方を増やすことより、
「自分は、どのような場面で、どのようなミスをするのか」
を本人と一緒に確認することを優先しました。
間違えた問題を一つずつ確認してミスの仕方を分類し、
「次に同じ間違いを防ぐにはどうすればよいと思う?」
と本人にも考えてもらいました。
そして、本人が決めたミスの防ぎ方を、その後の問題演習で実行してもらいました。
次の期末テストでは、数Ⅱの「軌跡と領域」が範囲に入っていました。
「図形と方程式」と「軌跡と領域」では共通して使う考え方もあるため、私が重視したのは、
新しい解き方を増やすことより、「図形と方程式」で見つかったミスの防ぎ方を、「軌跡と領域」でも実行できるようにすること
でした。
その結果、次の定期テストで、中間テスト40点から期末テスト82点になりました。
この事例で変更したのは、参考書の冊数や勉強時間ではありません。
また、
「次は計算ミスに気をつけよう」
と注意しただけでもありません。
本人が自分のミスの傾向を知り、それを防ぐ方法を自分で考え、次の単元でも実行することを学習の中心にしたことが大きな変更点でした。
高1の年間勉強計画でも同じです。
定期テストや模試を受けた結果、
- 基本事項を理解できていない
- 以前習った内容を忘れている
- 解き方は知っているが、自分で選べない
- 計算や書き写しのミスが多い
- 問題文の条件を読み落としている
と分かったのであれば、それに合わせて次の学習内容を変えます。
勉強計画を修正するとは、単に予定を遅らせることではありません。
テストで見つかった課題に合わせて、「次に何をできるようにするのか」を変更することです。
大学受験の勉強計画では、1年間の予定を守ることそのものを目標にせず、
「その時期までに何を自力でできるようにするか」を決める→定期テストや模試で確認する→必要なら計画を修正する
という流れを作っていきましょう。
理系を目指すなら高1では数学をどこまで勉強すればいい?
理系の高1の数学では、学校より先の単元へ早く進むことよりも、まず学校で習った数Ⅰ・Aなどの基本問題を、解説を見ずに自力で解ける状態にすることを優先します。
「理系なら高1のうちに数Ⅱ・B・Cまで進んだほうがいいのでは?」
「難関大学を目指すなら、数Ⅲ・Cまで早く終わらせたほうが有利なのでは?」
と考えることもあるでしょう。
しかし、高校によって数学の進度は異なります。
高1で数Ⅰ・Aを中心に学習する学校もあれば、私が実際に指導した生徒のように、高1の段階ですでに数Ⅱまで進んでいる学校もあります。
そのため、「高1なら○月までにこの単元まで終わらせる」と一律に決めることはできません。
私が数学の学習状況を見るときに重視しているのは、習った範囲の広さだけではなく、
- 基本的な公式や考え方を理解しているか
- 解説を見ずに基本問題を解けるか
- 類題でも同じ考え方を使えるか
- 問題を見て必要な公式や解法を自分で選べるか
- 時間を空けてからもう一度解けるか
という点です。
高1数学の目標は、「習った範囲」を増やすことだけではなく、「自力で解ける範囲」を増やすことです。
数Ⅰ・Aは高1のうちにどのレベルまでできればいい?
数Ⅰ・Aについては、学校で学習した範囲の教科書や学校問題集の基本問題を、例題や解説を見なくても自力で解けることを一つの目標にします。
学校や教科書によって学習する順番には違いがありますが、数Ⅰ・Aでは主に次のような内容を学習します。
| 科目 | 主な学習内容 |
|---|---|
| 数学Ⅰ | 数と式、集合と命題、二次関数、図形と計量、データの分析 |
| 数学A | 図形の性質、場合の数と確率、数学と人間の活動など |
ここで注意したいのは、
「授業で習った」=「できるようになった」
ではないことです。
たとえば数学Ⅰの「図形と計量」で三角比を学習したのであれば、sin・cos・tanという記号や公式を覚えただけで終わらせません。
- sin・cos・tanが何を表しているのか
- 問題から必要な三角比を選べるか
- 正弦定理と余弦定理のどちらを使うのか判断できるか
- 与えられた辺や角から、何を求めればよいのか考えられるか
といったところまで確認します。
数学Ⅰの「数と式」で扱う集合や命題でも同じです。
必要条件・十分条件・必要十分条件という言葉だけを覚えるのではなく、具体的な条件を与えられたときに、
「どちらからどちらが成り立つのか」
を自分で考えられる必要があります。
なお、必要条件・十分条件・必要十分条件は、数学Aではなく数学Ⅰの「数と式」で学習する内容として整理しておきましょう。
数Ⅰ・Aの基礎固めは、
① 教科書や授業で考え方を理解する
↓
② 基本例題を確認する
↓
③ 解説を閉じて類題を解く
↓
④ 間違えた原因を確認する
↓
⑤ 数日後にもう一度解く
↓
⑥ 複数単元の問題から必要な考え方を選ぶ
という順番で進めます。
最初から難しい入試問題を解ける必要はありません。
まずは、
「教科書を読めば分かる」から「教科書を見なくても解ける」へ移すこと
が、高1数学で行いたい基礎固めです。
数学でつまずいたら、どこまで戻って勉強すればいい?
数学でつまずいた場合は、「高校数学だから高校の範囲だけを復習する」と決めず、現在の問題を解くために必要な内容まで戻ります。
ただし、中学数学や数Ⅰ・Aを最初からすべてやり直す必要はありません。
まず、
「この問題のどこから自力では進めなくなっているのか」
を確認します。
つまずいたときは、
今解けない問題を確認する
↓
使おうとしている公式・定理を確認する
↓
その公式・定理が何を意味しているのか確認する
↓
必要なら前に習った内容まで戻る
↓
既習事項と現在の問題をつなぎ直す
↓
もう一度自力で解く
という形で復習します。
数学のやり直しでは、公式をもう一度暗記するだけではなく、「その公式を使う前に何を理解している必要があるのか」まで戻って確認することが重要です。
「解説を見れば分かる」はできるようになった状態?

解説を読んで理解できただけでは、その問題を自力で解けるようになったとはまだ判断できません。
解説を閉じたあと、自分で考え方を再現できるかまで確認します。
私が高校生を指導していてよく見るのが、問題集を進めているのに、例題の解説を読んだところで学習を終えてしまっているケースです。
「解説を読んだら分かった」
「先生の説明を聞いたら理解できた」
というのは、学習の大切な段階です。
しかし、大学入試では解説を見ながら問題を解くことはできません。
「今は場合の数の問題を勉強しています」
「今は三角比の問題です」
と単元名を教えてもらえるわけでもありません。
そのため、単元ごとの基本問題ができるようになったら、複数の単元を混ぜた問題から、何を使って解くのかを自分で考える練習も必要です。
実際に、場合の数を学習していた生徒で、
「これはPを使いますか? Cを使いますか?」
ということばかりを気にしていた生徒がいました。
しかし、確認してみると、問題はPとCの公式の使い分けではありませんでした。
そもそも、
「並べること」と「選ぶこと」の違い
を十分に理解できていなかったのです。
そこで、PやCの公式を使う練習をいったん止めました。
まず樹形図を使って場合を一つずつ書き出し、
- 並べ方では、順番が変われば別の場合になる
- 選び方では、順番が変わっても同じ組み合わせになる
という違いを確認しました。
その意味を理解してから公式へ戻ると、本人もPとCのどちらを使えばよいのかを考えられるようになりました。
このように、公式の選択を間違える場合でも、公式を覚えていないことが原因とは限りません。
その公式を使う前提となる考え方まで確認する必要があります。
高1の数学では、
解説を見れば分かる
↓
解説を閉じても解ける
↓
類題でも解ける
↓
数日後にも解ける
↓
単元名が分からなくても必要な考え方を選べる
と段階を上げていきます。
ここまで確認することで、学校の定期テストだけでなく、模試や大学入試でも使える数学につながっていきます。
高1から数学を先取りしたほうが難関大学に有利?
高1からの先取りが必要かどうかは、現在習っている数学がどの程度定着しているかによって決めます。先取りそのものを目標にする必要はありません。
難関大学を目指す場合、
「高1から数Ⅱ・B・Cへ進みたい」
「早いうちに数Ⅲ・Cまで終わらせたほうがよい」
と考えることがあります。
確かに、現在の学習内容が十分に定着している生徒であれば、学校の進度や志望大学に応じて先へ進むことには意味があります。
しかし、
- 数Ⅰ・Aの基本問題を解説なしでは解けない
- 公式を覚えていても使い分けられない
- 類題になると解けなくなる
- 以前習った単元を忘れている
- 中学数学の内容につまずきがある
という状態であれば、先取りよりも現在の内容の復習と定着を優先します。
たとえば三角比の公式を覚えていても、問題の中でどの公式を使えばよいのか分からないのであれば、そのまま先の三角関数へ進むより、まず現在の三角比を使える状態にしておくほうが、高2以降の学習につながります。
一方、
- 学校で習った基本問題を自力で解ける
- 類題でも考え方を再現できる
- 以前の単元もある程度維持できている
- 定期テストや模試で大きな理解不足が見つかっていない
という状態であれば、必要に応じて次の単元へ進めます。
つまり、
「難関大学を目指すから先取りする」のではなく、「現在の内容が定着しているので、次へ進める」
という順番です。
先取りをする場合も、参考書を一度読んで最後まで進めることを目標にはしません。
新しい単元でも、
考え方を理解する
↓
基本問題を解く
↓
解説を閉じて類題を解く
↓
数日後に確認する
↓
以前の単元と混ぜて使えるか確認する
という流れは変わりません。
理系の大学受験に向けた高1の数学では、「どこまで早く終えたか」ではなく、「高2以降の数学を積み上げられる基礎ができているか」を確認しながら進度を決めることが重要です。
高1の数学がどこまでできているか確認するチェックリスト
最後に、高1の数学がどこまで身についているのかを確認してみましょう。
| 確認すること | チェック |
|---|---|
| 学校で習った基本問題を解説なしで解ける | □ |
| 例題を読むだけでなく、類題を自力で解いている | □ |
| 間違えた問題を解説を閉じて解き直している | □ |
| 数日後にも同じ問題・類題を解ける | □ |
| 公式を暗記するだけでなく、意味を理解している | □ |
| 問題に応じて必要な公式や考え方を選べる | □ |
| 単元名が書かれていなくても解き方を考えられる | □ |
| 苦手な単元を本人が把握している | □ |
| 必要な場合は前に習った単元まで戻っている | □ |
| 中学数学と高校数学のつながりを確認している | □ |
| 定期テストで間違えた原因を確認している | □ |
| 模試でできなかった問題を単元まで戻って復習している | □ |
すべてにチェックが入る必要はありません。
むしろチェックが入らなかった項目について、
「なぜ、まだできていないのか」
を確認することが大切です。
保護者の方も、
「数Ⅱまで進んだ?」
「参考書は何ページまで終わった?」
と進度だけを確認するのではなく、
「今習っている数学は、解説を見なくても自分で解ける?」
と聞いてみてください。
そこで「解説を見れば分かるけれど、一人では解けない」というのであれば、先へ進む前に確認したい内容があります。
理系高1の数学では、学習した単元の数を増やすこと以上に、習った内容を自分で考えて使える範囲を一つずつ増やしていくことが、大学受験に向けた基礎作りになります。
数Ⅰ・Aは「単元ごとに何ができればよいか」まで確認する

数Ⅰ・Aの到達度は、「教科書を一通り終えたか」ではなく、それぞれの単元で基本的な考え方を理解し、問題を見て必要な公式や解法を自分で選べるかで確認します。
高1の段階では、難しい入試問題まで解けることを一律の目標にする必要はありません。
まず、学校で学習した範囲について、次のような状態を目指します。
| 分野 | 高1で確認したい到達状態 |
|---|---|
| 数と式 | 式の展開・因数分解や実数の計算、不等式などの基本的な計算を正確に行える |
| 集合と命題 | 集合の関係を整理し、命題の真偽、必要条件・十分条件・必要十分条件を自分で判断できる |
| 二次関数 | 式・グラフ・条件を結びつけ、最大・最小や二次方程式・二次不等式などの基本問題を解ける |
| 図形と計量 | 三角比の意味を理解し、辺・角など与えられた条件から必要な三角比や正弦定理・余弦定理を選べる |
| データの分析 | 平均・分散・標準偏差・四分位数などを理解し、表・グラフ・箱ひげ図・散布図などから必要な情報を読み取れる |
| 場合の数と確率 | 「並べる」「選ぶ」の違いを理解し、樹形図なども使いながら場合を整理して、順列・組合せを使い分けられる |
| 図形の性質 | 三角形や円の基本的な性質を理解し、中学数学で習った相似・円周角などとも結びつけて考えられる |
| 数学と人間の活動 | 学校で扱った整数などの内容について、用語や手順の暗記だけでなく、基本的な考え方を使って問題を解ける |
この表で特に重視したいのは、「公式を覚えているか」より「どの場面で使うのかを本人が判断できるか」です。
たとえば「図形と計量」で正弦定理と余弦定理を習った場合、
「正弦定理の公式を書いて」
と聞かれて書けるだけでは十分ではありません。
問題を見て、
- 何が分かっているのか
- 何を求めるのか
- 辺と角にはどのような関係があるのか
- 正弦定理と余弦定理のどちらを使えばよいのか
を考え、自分で式を立てられるところまで確認します。
「場合の数と確率」でも、
「これはPを使う問題」
「これはCを使う問題」
と問題の形を暗記するのではなく、まず実際の場合を書き出し、順番を区別するのか、選ぶだけなのかを考えられることが大切です。
到達度は3段階で確認する
数Ⅰ・Aの学習状況は、次の3段階に分けると確認しやすくなります。
| 段階 | 状態 | 次に行うこと |
|---|---|---|
| ① 理解する | 授業や解説を聞けば、公式・定理・解き方の意味が分かる | 基本問題を自分で解く |
| ② 自力で解く | 教科書や解説を見ずに基本問題・類題を解ける | 時間を空けて再確認する |
| ③ 自分で選んで使う | 単元名や使う公式を教えられなくても、問題を見て必要な考え方を選べる | 複数単元を混ぜた問題や節末問題などへ進む |
高1で特に目指したいのは、学校で学習した主要な内容について②までできる範囲を増やし、定着した単元から③へ進めていくことです。
すべての問題を③まで仕上げてから高2へ進まなければならない、という意味ではありません。
苦手な単元については、
「①まではできているが②ができない」
「基本問題なら②までできるが、問題が混ざると③ができない」
というように、どの段階で止まっているのかを把握できていることも重要です。
「定期テストで点が取れた」だけでは到達度を決めない
定期テストの点数も学習状況を確認する材料になりますが、点数だけで数Ⅰ・Aが定着したとは判断しません。
定期テストでは、出題範囲があらかじめ決まっています。
たとえば「図形と計量」が試験範囲だと分かっていれば、生徒も三角比・正弦定理・余弦定理などを使うことを予想できます。
一方、模試や大学入試では、問題を読んだうえで、
「この問題では何を使うのか」
を自分で判断する必要があります。
そのため、定期テストが終わったあとに、以前学習した単元も混ぜて問題を出してみます。
そこで、
問題を読む
↓
何を求める問題なのか整理する
↓
必要な公式・定理・考え方を選ぶ
↓
解説を見ずに式を立てる
↓
最後まで解く
という流れを本人だけでできれば、その内容は大学受験でも使える基礎に近づいています。
保護者が確認するときは「何点だった?」だけにしない
保護者の方が数Ⅰ・Aの細かな問題を解いて確認する必要はありません。
定期テストが返却されたときや一つの単元が終わったときに、
「この単元で、何が自分でできるようになった?」
と聞いてみてください。
たとえば、
「正弦定理と余弦定理を問題によって選べるようになった」
「必要条件と十分条件の違いを説明できるようになった」
「場合の数でPとCを暗記で選ばず、並べるのか選ぶのかを考えられるようになった」
という答えが返ってくるのであれば、本人も学習した内容を具体的に把握できています。
反対に、
「問題集の○ページまで終わった」
「テストで80点だった」
だけであれば、その中の問題を今も解説なしで解けるのかまで確認してみるとよいでしょう。
数Ⅰ・Aの高1での到達目標は、すべての入試問題を解けることではありません。
学校で習った基本的な内容について、「意味が分かる」から「自力で解ける」、さらに定着した内容については「問題に応じて自分で選んで使える」へ進めていくことです。
理系を目指すなら高1では英語・理科をどう勉強する?
理系の高1では、数学だけに勉強時間を集中させるのではなく、英語は基礎学習を継続し、理科は学校で習った内容を理解して基本問題で使える状態にしておくことが大切です。
理系志望の場合、
「まず数学を何とかしなければ」
と考えることは多いでしょう。
特に数学が苦手な高校生であれば、数学の復習にある程度の時間を使う必要があります。
しかし、高1の段階で英語をほとんど勉強しなくなり、高2になってから英単語や英文法までやり直すことになると、数学・理科の学習量が増える時期と重なります。
一方、理科については、高1から全員が物理・化学の大学受験用参考書を使って先取りする必要があるとは考えていません。
まずは学校で履修している内容について、
- 用語の意味が分かる
- 法則や公式が何を表しているのか分かる
- 基本問題を自力で解ける
という状態を作ります。
つまり、高1では、
数学……学校で習った内容を自力で使えるようにする
英語……基礎学習を止めずに継続する
理科……学校で習った内容を理解し、基本問題で使えるようにする
という形を基本にして、現在の学力や志望大学・学部の入試科目に応じて学習量を調整します。
高1の英語は何を優先する?
高1の英語では、英単語・英文法などの基礎を継続しながら、学校で扱う英文を自分で読める状態にすることを優先します。
理系志望だからといって、英語の重要性がなくなるわけではありません。
むしろ数学が苦手な生徒ほど、
「数学に時間を使わなければならないから、英語はあとでやる」
となりやすいため注意が必要です。
高1では、まず次のような学習を継続します。
- 英単語を覚える
- 一度覚えた単語を繰り返し復習する
- 学校で習った英文法を理解する
- 文法問題を解いて使い方を確認する
- 学校で扱った英文を自分で読み直す
- 定期テストで間違えた問題を復習する
特に英単語は、
「単語帳を一周した」
だけでは十分ではありません。
時間がたてば忘れる単語も出てくるため、以前覚えた範囲へ戻りながら繰り返します。
英文法についても、
「授業を聞いたから分かった」
「文法書を読んだから終わった」
ではなく、実際の問題や英文の中で使えるかを確認します。
英文を読むときには、分からない文章をすぐに日本語訳だけで確認するのではなく、
- どれが主語なのか
- どれが動詞なのか
- どの語句がどこを修飾しているのか
- 習った文法が英文の中でどのように使われているのか
を確認することも大切です。
高1で学校の英文を利用しながらこうした読み方を続けておけば、高2以降に長文問題へ進んだときにもつながります。
高2以降に大学受験レベルの英語へ進んだとき、語彙や文法の不足によって英文を読むたびに止まらない状態を作っておくことが、高1英語の大きな役割です。
物理・化学は高1から受験勉強を始めるべき?
物理・化学は、高1から一律に大学受験用の勉強を先取りする必要はありません。
まずは学校で履修している理科について、基本的な概念や法則・公式の意味を理解することを優先します。
理系志望と決めると、
「高1から物理と化学を始めなければ遅いのでは?」
と心配になることがあります。
しかし、理科の進度は高校によって異なります。
また、志望する大学・学部によって必要になる理科の科目数や組み合わせも異なります。
そのため、
「理系だから高1から物理・化学をどんどん先取りする」
と一律に考える必要はありません。
まず学校で習っている理科について、
授業内容を理解する
↓
用語・法則・公式の意味を確認する
↓
教科書や学校問題集の基本問題を解く
↓
解説を閉じてもう一度解く
↓
定期テストで理解度を確認する
↓
間違えたところを復習する
という流れを作ります。
理科でも、公式を覚えただけでは問題を解けないことがあります。
たとえば物理なら、
「この公式を覚えているか」
だけでなく、
「今の現象にどのような法則が成り立っていて、なぜこの式を使うのか」
まで考える必要があります。
化学でも、用語や公式だけを個別に暗記するのではなく、授業で学習した内容同士の関係を理解したうえで基本問題を解きます。
学校で履修している理科の基本問題を自力で解けており、数学・英語にも大きな遅れがなく、志望大学で必要になる科目も分かっているのであれば、必要に応じて先取りを考えてもよいでしょう。
反対に、
- 数学の基本問題を自力で解けない
- 英単語・英文法の学習が止まっている
- 現在学校で習っている理科にも理解不足がある
という状態で、さらに物理・化学の先取りを追加すると、やるべきことだけが増えてしまう場合があります。
「難関大学を目指すから高1から物理・化学を先取りする」のではなく、「現在の学習に大きな不足がなく、今後必要になる科目が分かっているから次へ進む」という順番で考えます。
国公立理系なら国語・社会・情報も高1から勉強する?
国公立理系を考えている場合は、数学・英語・理科だけに絞らず、国語・地歴公民・情報についても、まず学校の授業や定期テストを利用して基礎を維持しておくことが大切です。
理系志望になると、
「国語は受験学年になってから」
「社会は共通テスト前に覚えればいい」
と後回しにしたくなることがあります。
しかし、国公立大学を目指す場合は、個別試験だけではなく大学入学共通テストで必要になる教科・科目も確認しておく必要があります。
高1の段階から、数学や英語と同じ時間をすべての科目に使う必要はありません。
たとえば、
- 国語は学校の授業や定期テストを利用して、現代文・古文・漢文の基礎を学ぶ
- 地歴公民は学校で履修している内容を定期テストごとに復習する
- 情報も学校の授業内容を理解し、定期テストだけの暗記で終わらせない
という形で、学校学習を利用して基礎を残しておくことができます。
高1の段階では、
数学・英語は継続して基礎を積み上げる
理科は学校の履修内容を理解する
国語・地歴公民・情報は学校学習を利用して基礎を維持する
という役割分担で考えるとよいでしょう。
なお、実際に必要となる共通テストの科目や個別試験の科目・配点は、大学・学部・入試方式によって異なります。
そのため、興味のある大学・学部が出てきたら、大学が公表している最新の入学者選抜要項・募集要項で、必要な教科・科目と配点を確認してください。
理系高1の大学受験の勉強計画では、「理系科目だけを勉強する」のではなく、高2・高3で必要になる科目数まで見ながら、高1のうちに何を継続し、何を学校学習で維持するのかを決めておくことが大切です。
志望校別に科目配分を考える
高1の段階で科目別の勉強時間は、すべての理系志望者が同じ配分にするのではなく、志望校の入試科目・配点と現在の得意不得意を確認して調整します。
大まかに整理すると、次のように考えられます。
| 志望校の方向 | 高1で特に継続したい科目 | その他の科目の考え方 |
|---|---|---|
| 国公立理系 | 数学・英語 | 理科の基礎を学び、国語・地歴公民・情報も学校学習で維持する |
| 難関国公立理系 | 数学・英語+学校で履修する理科 | 高2以降の学習量を考え、主要科目の基礎を残さない。共通テスト科目も確認する |
| 私立理系 | 数学・英語・理科 | 志望大学の入試科目・配点を確認し、受験で必要になる可能性の高い科目を優先する |
| 難関私立理系 | 数学・英語+理科 | 難問を急ぐより、主要科目の基本・標準問題を自力で解ける状態を作る |
| 医学部など | 数学・英語・理科を中心に考える | 大学ごとの入試科目・配点・選抜方法を早めに確認する |
ただし、この表も全員に当てはまる固定的な優先順位ではありません。
たとえば私立理系を考えていても、数学に大きなつまずきがあれば、一時的に数学の復習時間を増やす必要があります。
反対に、数学が安定していて英語の基礎に不足があるのであれば、英語の学習時間を増やします。
科目配分を考えるときは、
① 候補となる大学・学部の入試科目を確認する
↓
② 共通テスト・個別試験の配点を確認する
↓
③ 現在の得意科目・苦手科目を確認する
↓
④ 高1で優先する科目と学習内容を決める
↓
⑤ 定期テスト・模試の結果を見て修正する
という順番で考えます。
高1の段階では3年間の科目配分を固定せず、「志望校で必要になる科目」と「現在の学力」の両方を見ながら、学期や模試ごとに調整していくことが大切です。
保護者向け|英語・理科を含めた科目別チェックリスト
保護者の方が各科目の問題を解いて確認する必要はありません。
「何を勉強しているか」「自力でできているか」「志望校に必要な科目を把握しているか」を確認してみてください。
英語
□ 英単語を継続して学習している
□ 一度覚えた単語を繰り返し復習している
□ 学校で習った英文法を復習している
□ 学校で扱った英文を自分で読み直している
□ 定期テストで間違えた問題を復習している
□ 数学が忙しくても英語の学習を完全に止めていない
理科
□ 学校で履修している理科の内容を理解している
□ 用語・法則・公式を覚えるだけで終わっていない
□ 学校の基本問題を自力で解いている
□ 定期テストで間違えた問題を解き直している
□ 志望する大学・学部で必要になりそうな理科科目を確認している
□ 先取りより先に、現在習っている内容を定着させている
志望校・科目全体
□ 興味のある大学・学部がいくつかある
□ 入試で必要になる科目を確認している
□ 各科目の配点も確認している
□ 国公立志望なら共通テストで必要な科目を確認している
□ 苦手科目だけでなく、継続する必要がある科目も把握している
□ 定期テストや模試の結果によって科目ごとの勉強時間を見直している
チェックが入らない項目があっても、すぐに勉強時間や参考書を増やす必要があるとは限りません。
大切なのは、
「なぜ、この項目ができていないのか」
を確認することです。
理系高1では、数学だけを優先してほかの科目を止めるのではなく、数学・英語・理科それぞれについて「高2以降の学習につなげるために、高1の今は何をできるようにするのか」を決めて勉強することが大切です。
理系を目指すなら高1では1日何時間勉強すればいい?
「毎日必ず○時間」と時間だけを決めるのではなく、学校の授業・部活動・現在の学力を踏まえて、必要な学習を継続できる勉強時間を確保することが大切です。
高1から大学受験の勉強計画を考えると、
「平日は何時間勉強すればいい?」
「難関大学を目指すなら、高1から3時間くらい必要?」
「部活から帰ってくると、ほとんど勉強できないけれど大丈夫?」
と、勉強時間が気になることがあります。
もちろん、大学受験に向けて一定の学習時間を確保することは必要です。
しかし、同じ「2時間」でも、
- 例題の解説を読んで終わった2時間
- 分からないまま問題集を進めた2時間
- 数学の基本問題を解説なしで解き、間違えた原因まで確認した2時間
では、学習内容が違います。
そのため、
必要な学習内容を決める
↓
そのための時間を確保する
↓
実際に続けられたか確認する
↓
できることが増えたか確認する
↓
必要なら時間・内容を調整する
という順番で考えます。
特に理系では、高2・高3になるにつれて数学・英語・理科の学習量が増えていきます。
高1では、いきなり長時間勉強することよりも、学校のある日にも家庭学習をする習慣を作り、必要に応じて学習時間を増やせる状態にしておくことが重要です。
平日は何時間勉強すればいい?
平日は、まず学校の授業の復習と数学・英語の継続学習ができる時間を確保し、現在の生活の中で毎日続けられるところから始めます。
たとえば、部活動などがあり、平日に90分程度確保できるのであれば、一例として次のように使えます。
| 科目 | 時間の例 | 学習内容 |
|---|---|---|
| 数学 | 30分 | その日に習った問題の解き直し・類題 |
| 英語 | 30分 | 英単語・英文法・学校の英文の復習 |
| 理科・学校の復習 | 30分 | その日に習った内容や苦手科目の復習 |
ただし、「高1なら毎日90分やればよい」という意味ではありません。
数学につまずきがあるなら、数学を60分にして理科の復習を休日へ回す日があってもよいでしょう。
英単語なら、通学時間などを利用できることもあります。
定期テスト前であれば、その時期に必要な科目へ時間を多く使うこともあります。
大切なのは、毎日同じ時間配分を守ることではありません。
たとえば数学なら、
「30分数学をやる」
ではなく、
「今日習った基本問題を、解説を見ずにもう一度解く」
と学習内容まで決めます。
そして勉強が終わったら、
「今日は2時間勉強した」ではなく、「今日できるようにする予定だったことが終わったか」
を確認します。
平日の勉強時間は、数字だけを先に決めるのではなく、学校で習った内容を早めに復習し、数学・英語の学習を継続できているかから考えることが大切です。
部活が忙しい人はどうやって勉強時間を確保する?
部活動が忙しい人は、毎日まとまった勉強時間を取ろうとするより、短時間でできる学習と、まとまった時間が必要な学習を分けて考えます。
部活動から帰宅すると、
「今日は2時間勉強する予定だったけれど、もう時間がない」
という日もあります。
そこで、
「2時間取れないなら今日はできない」
としてしまうと、数学や英語を何日も勉強しない状態になりやすくなります。
平日に短時間でもできるものとしては、
- 通学中に英単語を確認する
- 朝に前日の英文法を復習する
- 帰宅後に数学を1〜2問だけ解き直す
- 授業で分からなかった問題に印をつける
- 学校の小テストの間違いを確認する
などがあります。
一方、休日には、
- 数学の苦手単元をまとめて復習する
- 解説を見ずに類題を解く
- 複数単元を混ぜた問題を解く
- 定期テストや模試の間違いを分析する
- 理科の基本問題をまとめて確認する
など、時間の必要な学習を行います。
たとえば、
平日:その日の学習を止めない
土日:理解不足をまとめて確認する
という役割分担です。
特に数学では、
「今日習った問題を一度解き直す」
だけでも、何もしないまま週末まで置いておくのとは違います。
ただし、短時間学習だけですべてを済ませるわけではありません。
平日に十分できなかったところを休日に確認し、
解説を閉じても自力で解けるところまで復習する時間
を確保します。
部活と大学受験勉強を両立する高1では、長時間勉強できない日があることを前提に、平日の短時間学習と休日の復習を組み合わせることが重要です。
難関大学を目指すなら高1から勉強時間を増やすべき?
難関大学を目指す場合でも、高1から勉強時間だけを増やすのではなく、まず数学・英語を中心に基礎を自力で使える状態にし、そのうえで必要な学習量に応じて時間を増やしていきます。
難関大学を目指すとなると、
「高1から毎日3時間、4時間勉強しなければ」
と考えることがあります。
しかし、長時間机に向かっていても、
- 数学は例題の解説を読むだけ
- 分からない問題はすぐ答えを写す
- 類題を自力で解かない
- 英単語は一度覚えたら復習しない
- 間違えた問題の原因を確認しない
という勉強になっていれば、時間を増やす前に勉強方法を見直す必要があります。
何度でも言いますが、特に数学では、
例題で考え方を理解する
↓
解説を閉じる
↓
自力で類題を解く
↓
間違えた原因を確認する
↓
数日後にもう一度解く
というところまで行います。
この学習を毎日継続できるようになり、学校の内容も安定してきたら、志望大学に必要な学習量に応じて勉強時間を増やします。
つまり、
難関大学を目指す → とにかく長時間勉強する
ではなく、
必要な学習内容を確認する
↓
継続できる時間を確保する
↓
自力でできるようになったか確認する
↓
学習量が増えたら時間も増やす
という順番です。
難関大学を目指す高1に必要なのは、最初から長時間勉強することそのものではなく、高2・高3で学習量を増やせるように、数学・英語を中心とした基礎学習を毎日の習慣にしておくことです。
高1の勉強時間の目安を学力別に整理する
高1の勉強時間は、偏差値だけで決めるのではなく、「学校の授業についていけているか」「基本問題を自力で解けるか」「苦手単元がどのくらい残っているか」によって調整します。
以下の時間は、「この時間だけ勉強すれば大学に合格できる」という統計上の基準ではありません。
私が高1の学習計画を考える際に、学校の授業についていけているか、基本問題を自力で解けるか、どの程度やり直しが必要かを確認したうえで考える一つの目安です。
実際には、部活動、学校の課題、通学時間、現在の学力などによって調整してください。
| 現在の学習状態 | 平日の目安 | 休日の目安 | 優先すること |
|---|---|---|---|
| 学校の授業についていくのが難しい | 1〜1.5時間程度から | 2〜3時間程度から | 学校の復習・数学の前提単元・英語の基礎 |
| 基本問題はおおむね解ける | 1.5〜2時間程度 | 3〜4時間程度 | 数学・英語の定着、理科、間違えた問題の復習 |
| 基本問題が安定している | 2時間程度〜 | 4時間程度〜 | 標準問題、既習範囲の復習、必要に応じた先取り |
| 難関大学を視野に入れ、基礎も定着している | 2〜3時間程度〜 | 4〜5時間程度〜 | 数学・英語の標準〜発展、理科、必要に応じた先取り |
ここで注意したいのは、学力が低いほど長時間勉強させればよいわけではないということです。
たとえば数学の授業についていけていない生徒に、
「成績が悪いから毎日3時間数学をやろう」
としても、何を復習すればよいか分からないまま問題集を進めれば、学習時間だけが増えてしまうことがあります。
この場合は、まず、
- どの問題から自力で解けなくなっているか確認する
- 原因となる単元を特定する
- 必要なら前提となる内容まで戻る
- 基本問題を解説なしで解けるようにする
- 類題で確認する
という学習を優先します。
反対に、学校の基本問題を安定して解けていて、数学・英語の学習習慣もできている生徒であれば、志望校や学校の進度に応じて標準問題や先取りへ使う時間を増やせます。
したがって、
現在の学力 → 必要な学習内容 → 必要な時間
という順番で考えます。
定期テストや模試を受けたら、
「予定どおり2時間勉強できたか」
だけではなく、
「その2時間によって、何ができるようになったのか」
を確認し、必要なら次の週の時間配分を変更します。
「何時間勉強したか」だけを確認しない
勉強時間だけでなく、その時間を使って何をできるようにしようとしているのかを確認してみてください。
「2時間やった」
「問題集を10ページ進めた」
ではなく、
「今日学校で習った問題を、解説なしでも解けるようにした」
「前回間違えた三角比の問題をもう一度解いた」
「英単語を復習して、忘れていたものを覚え直した」
という答えが返ってくるのであれば、勉強時間と学習内容が結びついています。
また、勉強時間を増やしているのに定期テストや模試で同じ種類の間違いが続く場合には、
「もっと長く勉強する」以外の修正が必要かもしれません。
先ほど定期テストで「40点から82点」に伸びた生徒の話を出しましたが、このとき重要だったのは、単純に勉強時間を増やすことではなく、それまでの勉強で改善できていなかった問題を見つけ、学習内容を変えたことです。
高1の大学受験勉強でも同じです。
「何時間勉強したか」は学習量を確認する一つの材料ですが、「その時間で何が自力でできるようになったか」まで確認することで、勉強時間が実際の学力につながっているかを見直しやすくなります。
理系を目指す高1生の1週間の勉強スケジュールはどう組む?
1週間の勉強スケジュールは、平日に学校で習った内容を復習し、土日に1週間の定着確認と苦手単元の復習を行う形を基本にします。
大学受験に向けて勉強計画を立てようとすると、
「月曜日は数学、火曜日は英語」
「毎日2時間ずつ勉強する」
というように、曜日と勉強時間から決めることがあります。
しかし、学校の授業は毎週同じように進むわけではありません。
数学で急に分からない単元が出てくることもあれば、定期テストや小テストの結果から、以前習った内容の復習が必要になることもあります。
そのため私は、
平日:学校で習った内容を早めに復習する
↓
土日:1週間の内容をもう一度確認する
↓
解けなかった問題の原因を調べる
↓
必要な復習を翌週の予定へ入れる
という1週間の流れを基本にしています。
1週間の勉強スケジュールは、月曜日に決めた予定を日曜日まで守るためのものではありません。週末に「できるようになったか」を確認し、その結果によって翌週の予定を変えるところまで含めて考えます。
平日の勉強はどう分ける?
平日は、数学と英語をできるだけ継続しながら、その日に学校で習った理科などの復習を組み合わせます。
たとえば、平日に90分程度の家庭学習時間を確保できる場合は、次のように分けることができます。
| 科目 | 時間の例 | 内容 |
|---|---|---|
| 数学 | 30分 | その日に学校で習った問題の解き直し・類題 |
| 英語 | 30分 | 英単語・英文法・学校で扱った英文の復習 |
| 理科・その他 | 30分 | 学校で習った内容の復習・小テスト対策など |
ただし、これは「毎日必ず30分ずつ勉強する」という決まりではありません。
数学で理解できなかった内容があった日は、数学に60分使っても構いません。
反対に数学の授業がなかった日は、英語や理科へ多めに時間を使うこともできます。
大切なのは、
「今日は数学を30分やる」
ではなく、
「今日習った数学の基本問題を、教科書や解説を見ないでもう一度解く」
というように、勉強する内容まで具体的に決めることです。
英語も、
「30分英語を勉強する」
ではなく、
「英単語を復習する」
「今日学校で扱った英文をもう一度読む」
「授業で習った英文法の問題を解く」
など、その日に行うことを決めます。
平日の学習では、毎日同じ量をこなすことより、数学・英語を完全に止めず、学校で習った内容をできるだけ早く復習することを優先します。
土日は何を勉強すればいい?
土日は、新しい問題をたくさん進めるだけではなく、平日に学習した内容の定着確認と、苦手単元の復習に時間を使います。
平日は学校や部活動があるため、十分に復習できないことがあります。
そこで土日には、
- 平日に間違えた数学の問題を解き直す
- 解説を閉じて類題を解く
- 以前学習した単元も混ぜて解く
- 英単語・英文法をまとめて復習する
- 学校で習った英文を読み直す
- 理科の基本問題を解く
- 定期テストや模試で間違えた問題を復習する
といった学習を行います。
特に数学では、
「平日に解説を読んで理解した問題を、土日にもう一度何も見ずに解けるか」
を確認してみてください。
ここで解けなければ、
「一度勉強したから終わり」
とはせず、もう一度復習します。
反対に、問題を見たときに必要な考え方を自分で選び、最後まで解けるのであれば、その内容は定着してきていると考えられます。
また、土日に平日の未消化分をすべて詰め込むことはおすすめしません。
毎週、
「平日にできなかった問題を全部日曜日にやる」
となると、翌週も同じことが繰り返されます。
未消化の内容が多い場合には、
「今週中に必ず復習するもの」と「翌週へ回してもよいもの」
を分けます。
特に、次の授業を理解するために必要な数学の内容は優先します。
土日は「平日にできなかった勉強を全部やる日」ではなく、1週間の理解不足を見つけ、次の週へ持ち越す苦手を減らすための日として使います。
週末に「できるようになったか」をどう確認する?
週末には、「今週何時間勉強したか」ではなく、今週学習した内容を解説なしで再現できるかを確認します。
たとえば数学なら、今週学習した問題の中から数問を選びます。
このとき、
「今週は三角比を習ったから、三角比の問題を解こう」
と単元を意識して選ぶだけではなく、以前習った内容も少し混ぜます。
そして、
問題を読む
↓
何を求める問題なのか整理する
↓
必要な公式・考え方を自分で選ぶ
↓
解説を見ずに解く
↓
間違えたら原因を確認する
という段階を踏みましょう。
見方を変えて
今週学習した問題
↓
間違えた問題の解き直し
↓
類題
↓
以前学習した単元を含む問題
と少しずつ条件を変えて確認するのもよいでしょう。
週末に解けなかった問題があれば、それを翌週の勉強スケジュールへ入れます。
1週間の勉強スケジュールは、「月曜日から日曜日まで何をするか」を決めるだけではなく、週末に理解度を確認し、その結果を翌週の予定へ反映させるところまでを一つの流れとして考えることが重要です。
理系を目指す場合の1週間の勉強スケジュール例
部活動などがある高1を想定すると、たとえば次のように組むことができます。
| 曜日 | 数学 | 英語 | 理科・その他 |
|---|---|---|---|
| 月 | 学校で習った問題の解き直し | 英単語・学校英文 | 当日の授業復習 |
| 火 | 基本問題・類題 | 英単語・英文法 | 理科の授業復習 |
| 水 | 前日までの間違い直し | 英単語・学校英文 | 小テストなどの復習 |
| 木 | 学校で習った問題+類題 | 英単語・英文法 | 理科の基本問題 |
| 金 | 1週間で間違えた問題を確認 | 英単語・学校英文 | 未復習部分の確認 |
| 土 | 苦手単元をまとまって復習 | 1週間の英語復習 | 理科の基本問題・定期テスト対策 |
| 日 | 複数単元から問題を解いて定着確認 | 英単語・英文法の確認 | 1週間の復習+翌週の予定を決める |
この表も、全員が同じように行うためのものではありません。
部活動の練習日、学校の課題、定期テストの日程によって変更します。
たとえば火曜日と木曜日の帰宅が遅いのであれば、その日は英単語と数学1〜2問だけにして、土曜日に復習時間を増やしても構いません。
反対に部活動がない日は、数学の苦手単元を少し長めに学習できます。
曜日ごとの予定を固定するより、「平日に学習する→週末に確認する→翌週の予定を修正する」という流れを崩さないことを優先してください。
数学が苦手な高1は1週間の優先順位を変える
数学が苦手な高1の場合は、学校の宿題や問題集をすべて同じように進めようとするのではなく、「現在の授業についていくための学習」と「これまでのつまずきを直す学習」を優先します。
数学が苦手になっている原因には、いくつかあります。
たとえば、
- 計算が安定していない
- 公式の意味が分からない
- 例題と同じ形なら解けるが、少し変わると解けない
- 解説を見ないと最初の式を立てられない
- 以前習った単元を忘れている
- 中学数学の内容とのつながりが分かっていない
などです。
この状態で、
「高1だから数Ⅰ・Aを早く終わらせなければ」
と先へ進むだけでは、分からない内容が増えることがあります。
そこで、数学が苦手な場合は次の順番で考えます。
| 優先度 | 学習内容 |
|---|---|
| 1 | 現在学校で習っている内容を理解する |
| 2 | 現在の問題を解くために必要な前提単元を確認する |
| 3 | 教科書・学校問題集の基本例題を理解する |
| 4 | 解説を閉じて同じ問題・類題を解く |
| 5 | 数日後にもう一度解いて定着を確認する |
| 6 | 定着したら節末問題・複数単元の問題・標準問題へ進む |
ここでも重要なのは、分からない単元があるからといって、中学数学や数Ⅰ・Aを最初から全部やり直す必要はないということです。
現在の問題から逆にたどって、必要なところまで戻ります。
数学が苦手な生徒なら、1週間を次のように使う方法もあります。
| 曜日 | 数学で行うこと |
|---|---|
| 月 | 現在学校で習っている基本問題 |
| 火 | 解けなかった原因を確認する |
| 水 | 必要な前提単元まで戻る |
| 木 | 解説を閉じて同じ問題・類題を解く |
| 金 | 今週間違えた問題をもう一度解く |
| 土 | 苦手単元をまとまって復習する |
| 日 | 今週+以前の単元から問題を選んで解く |
もちろん、毎週この曜日どおりにする必要はありません。
重要なのは、
現在の問題
↓
原因を確認する
↓
必要なところまで戻る
↓
自力で解く
↓
時間を空けて確認する
という流れを1週間の中に入れることです。
そして数学が苦手な場合でも、英語を完全に止める必要はありません。
英単語や英文法など、短時間でも継続できる学習は残します。
数学が苦手な高1ほど、1週間の成果を「勉強した時間」や「進んだページ数」ではなく、「解説なしで解けるようになった問題が増えたか」で確認することが大切です。
日曜日に翌週の予定を作り直す
1週間の最後には、予定どおり勉強できたかだけではなく、「何ができるようになり、何がまだできないのか」を確認して翌週の予定を作ります。
日曜日には、たとえば次の5点を確認します。
□ 今週習った数学の基本問題を自力で解けるか
□ 今週間違えた問題をもう一度解けるか
□ 英単語・英文法の学習を継続できたか
□ 理科で理解できていない内容が残っていないか
□ 来週に優先して復習する内容を決めたか
ここで、
「数学の三角比がまだ解説なしでは解けない」
と分かったのであれば、翌週にも三角比の復習を残します。
「英単語の復習がほとんどできなかった」
のであれば、翌週は通学時間などに英単語を入れます。
「理科の学校問題集で解けない問題が多かった」
のであれば、休日に理科の復習時間を増やします。
反対に、数学の基本問題が安定してきたのであれば、その時間の一部を標準問題や別の科目へ移すこともできます。
このように、
予定を立てる
↓
1週間勉強する
↓
自力でできるか確認する
↓
できなかった原因を確認する
↓
翌週の予定を修正する
という流れを繰り返します。
1週間の勉強スケジュールは、きれいな時間割を作ることが目的ではありません。
平日に学習し、週末に定着を確認し、その結果に合わせて翌週の勉強内容を変えていくことで、大学受験につながる学習計画になります。
高1で受ける模試は大学受験の勉強計画にどう使う?
高1の模試は、志望校の判定だけを見るのではなく、「今まで習った内容のうち、何を自力で使えて、どこにつまずきが残っているのか」を確認し、その後の勉強計画を修正するために使います。
高1で模試を受けると、
「偏差値が思っていたより低かった」
「志望大学がE判定だった」
「数学が全然できなかった」
と、結果の数字に目が向きやすくなります。
しかし、高1の段階では、一回の模試の偏差値や判定だけで、
「この大学は無理」
「理系には向いていない」
と決める必要はありません。
一方で、
「まだ高1だから模試の結果は気にしなくてよい」
と、そのままにしてしまうのもおすすめしません。
模試には、学校の定期テストとは違う役割があります。
学校の定期テストでは、あらかじめ試験範囲が決められています。
たとえば「図形と計量」が試験範囲だと分かっていれば、三角比や正弦定理・余弦定理などを使うことを予想できます。
一方、模試では複数の単元から問題が出されます。
そのため、
問題を読む
↓
何を求めるのか整理する
↓
どの単元の考え方が必要なのか判断する
↓
必要な公式・解法を選ぶ
↓
自力で最後まで解く
という力が必要になります。
これは、私が普段の数学指導で、単元ごとの学習が終わったあとに複数単元の問題を混ぜて解いてもらう理由でもあります。
「今は場合の数を勉強している」
「今日は三角比の問題を解く」
と分かっている状態ではなく、問題だけを見て、
「何を使えば解けるのか」
を本人が判断できるか確認するためです。
高1の模試は、学校で習った内容が「テスト範囲を教えられなくても使える知識」になっているかを確認できる機会です。
高1模試においては偏差値と判定性のどちらを見る?
高1の模試では、偏差値や志望校判定だけではなく、科目別・分野別の得点と、どの問題で失点したのかを見ることを優先します。
もちろん、偏差値や判定を見てはいけないわけではありません。
現在のおおまかな位置を知る材料にはなります。
ただし、偏差値や判定を確認しただけでは、次に何を勉強すればよいのかまでは分かりません。
たとえば数学の偏差値が低かったとしても、原因は生徒によって違います。
- 公式や基本的な考え方そのものを理解していなかった
- 公式は知っていたが、この問題で使うと判断できなかった
- 問題文の条件を読み落とした
- 計算を間違えた
- 図やグラフから必要な情報を読み取れなかった
- 時間が足りなかった
- 以前学習した単元を忘れていた
これらはすべて、必要な復習方法が違います。
そのため模試が返却されたら、
① 科目ごとの結果を見る
↓
② 分野・単元ごとの結果を見る
↓
③ 間違えた問題を確認する
↓
④ なぜできなかったのかを確認する
↓
⑤ 次に復習する内容を決める
という順番で見ていきます。
特に数学では、
「公式を知らなかった」のか、「公式は知っていたが使うと判断できなかった」のか
を分けて考えることが大切です。
前者なら、教科書や学校問題集の基本例題まで戻る必要があります。
後者なら、同じ公式をもう一度覚えるだけでは十分ではありません。
複数の単元から問題を出して、
「この問題では何を使うのか」
を自分で判断する練習が必要です。
高1の模試では、偏差値や判定を最終評価にするのではなく、その数字になった原因を問題ごとに確認し、次の学習につなげることが重要です。
模試で数学ができなかったら何を復習する?
模試で数学の点数が取れなかった場合は、模試の問題だけを解き直すのではなく、間違えた原因に応じて、必要なら教科書の基本例題や前提となる単元まで戻って復習します。
模試が返却されると、
「間違えた問題を全部もう一度解こう」
となりがちです。
もちろん解き直しは必要です。
ただし、模試の問題だけを繰り返しても、原因が残ったままであれば、別の問題で同じようにつまずくことがあります。
私が数学の模試を復習するときも、間違えた問題をすべて同じ方法では扱いません。
まず、どの段階で自力では解けなくなったのかを確認します。
1.公式・基本的な考え方そのものを理解していなかった
この場合は、模試の解説だけを読んで終わらせず、教科書や学校問題集の基本例題まで戻ります。
基本的な考え方を確認する
↓
基本問題を解く
↓
解説を閉じてもう一度解く
↓
類題を解く
という流れで復習します。
2.基本問題は解けるのに、模試では使う解法が分からなかった
この場合は、公式を覚え直すことより、問題を見て必要な考え方を選ぶ練習が必要です。
たとえば、単元名の書かれていない問題や、以前学習した単元を混ぜた問題を解きます。
私の指導でも、一つの単元を学習したあとには、単元名を教えずに問題を出すことがあります。
そこで、
「これは何を使う問題なのか」
を本人に考えてもらいます。
大学受験では、公式を知っているだけでなく、必要な場面でその知識を取り出せることが必要だからです。
3.計算ミス・見間違い・問題文の読み落としが多かった
この場合、
「次は気をつけよう」
だけでは終わらせません。
どこで間違えたのかを具体的に確認します。
- 数字を書き写すところで間違えた
- 符号を途中で変えてしまった
- 問題文の条件を一つ読み飛ばした
- 求めるものとは別のものを答えた
- 図から条件を読み取れていなかった
など、ミスの種類を分けます。
そして、
「次に同じ間違いを防ぐには、何をするか」
まで決めます。
これは、私が実際の指導でも重視していることです。
模試でも同じように、単に「間違えた問題を解き直す」だけでなく、間違い方そのものを次の学習へ生かすことが大切です。
4.時間が足りなかった
時間不足の場合も、すぐに
「もっと速く解く練習をしよう」
とは考えません。
まず、
- 基本問題に時間がかかりすぎていないか
- 一つの問題で長時間止まっていなかったか
- 解法がすぐに思いつかず時間を使っていなかったか
- 計算を何度もやり直していなかったか
を確認します。
基本問題がまだ安定していないのであれば、制限時間を短くする練習よりも、まず基本的な解法を自力で再現できる状態を作ることを優先します。
模試後の復習手順のチェックリスト
模試が返却されたら、偏差値や判定を確認して終わりにせず、間違えた原因を調べ、必要な復習を行い、次の勉強計画まで修正します。
次の順番で確認してみてください。
□ ① 科目ごとの得点・偏差値を確認した
□ ② 分野・単元ごとの結果を確認した
□ ③ 間違えた問題・手をつけられなかった問題を確認した
□ ④ 「なぜできなかったのか」を問題ごとに考えた
□ ⑤ 解説を見る前に、もう一度自分で考えた
□ ⑥ 理解不足なら教科書・学校問題集の基本例題まで戻った
□ ⑦ 必要なら以前習った前提単元まで戻った
□ ⑧ 解説を閉じて、もう一度自力で解いた
□ ⑨ 同じ考え方を使う類題を解いた
□ ⑩ 数日後にもう一度解いた
□ ⑪ 復習する内容を次の1週間の勉強スケジュールへ入れた
□ ⑫ 次の模試までに改善したいことを決めた
特に④の「なぜできなかったのか」は重要です。
数学なら、大きく次のように分類できます。
| 原因 | 復習の方向 |
|---|---|
| 知識・理解不足 | 教科書・基本例題まで戻る |
| 解法を選べなかった | 類題・複数単元の問題で解法選択を練習する |
| 計算・読み間違い | ミスが起きた場所と防ぎ方を具体化する |
| 時間不足 | 基本問題の定着・問題ごとの時間配分を確認する |
模試の復習では、「どの問題を間違えたか」だけではなく、「どの段階で自力ではできなくなったのか」を確認することが大切です。
模試の復習を次の1週間の勉強スケジュールへ入れる
模試を復習したら、見つかった課題を次の1週間の予定へ具体的に入れます。
ここまで行わないと、
「模試の復習はしたけれど、普段の勉強は以前と同じ」
となってしまいます。
たとえば模試で、
「三角比の公式は覚えているが、正弦定理と余弦定理を選べなかった」
ことが分かったとします。
その場合、翌週は、
月曜日:間違えた問題を解き直す
火曜日:正弦定理・余弦定理の基本問題を確認する
水曜日:解説を見ずに類題を解く
木曜日:別の図形問題と混ぜて解く
土曜日:もう一度、模試の問題を解く
というように、模試で見つかった課題を普段の勉強へ入れます。
ただし、模試で間違えた問題が多いからといって、すべてを翌週に詰め込む必要はありません。
まず、
「次の1〜2週間で優先して直すこと」を2〜3個程度に絞る
と取り組みやすくなります。
たとえば、
- 数学:正弦定理と余弦定理を自分で選べるようにする
- 英語:英文法の関係詞を復習する
- 理科:学校で習った範囲の基本問題を解き直す
というように、次に行うことを具体化します。
そして次の模試では、
「偏差値が何ポイント上がったか」だけではなく、前回できなかったことが改善しているか
を確認します。
保護者は模試の結果をどう確認すればいい?
保護者の方は、偏差値や志望校判定だけでなく、「今回の模試から何が分かり、次に何をすることにしたのか」を確認してみてください。
たとえば、
「E判定だったけれど大丈夫?」
と聞くだけではなく、
「今回の模試で、次に復習することは何になった?」
と聞いてみます。
本人が、
「数学は公式を忘れていたのではなく、問題を見て使う公式を選べなかったから、今週は単元を混ぜた問題をやる」
「英語は単語不足で読めない文章が多かったから、以前覚えた単語も含めて復習する」
などと説明できれば、模試が次の勉強につながっています。
反対に、
「数学が悪かったから数学をもっと勉強する」
だけでは、まだ具体的ではありません。
何ができなかったのか、なぜできなかったのか、次に何をできるようにするのかまで整理します。
高1の模試は、大学受験の合否を決めるものではありません。
しかし、学校の定期テストだけでは見つけにくい、
「以前習った内容を、問題に応じて自分で取り出して使えるか」
を確認する機会になります。
大学受験に向けた理系高1の勉強計画では、模試を「成績を確認する日」で終わらせず、「弱点を見つける→原因を確認する→復習する→普段の勉強計画を変える→次の模試で改善を確認する」という学習の一部として使うことが大切です。
高1からやる大学受験の勉強で計画の失敗などはある?
高1の大学受験勉強では、「たくさん勉強する」「参考書を早く終わらせる」「学校や予備校の予定どおり進む」こと自体を目標にすると、理解できていない部分を残したまま学習が進んでしまうことがあります。
高1から大学受験を意識すると、
「高1のうちに数Ⅰ・Aを終わらせよう」
「この参考書を夏休みまでに終わらせよう」
「毎日2時間勉強しよう」
と、早めに計画を立てることがあります。
計画を立てること自体は大切です。
ただし、大学受験の勉強計画では、
「予定していた勉強をしたか」と「できるようになったか」を分けて考える必要があります。
たとえば、
「数学の問題集を30ページ進めた」
としても、その30ページの問題を数日後に解説なしで解けなければ、もう一度復習する必要があります。
反対に、予定より進度が遅くても、苦手だった単元を前提となる内容まで戻り、基本問題を自力で解けるようになったのであれば、必要な学習ができています。
そのため、高1の勉強計画では、
予定を立てる
↓
実際に勉強する
↓
自力でできるようになったか確認する
↓
できなかった原因を確認する
↓
必要なら計画を変更する
という流れを作ります。
参考書をたくさん進めれば受験対策になる?
参考書を何冊も終わらせることより、今使っている参考書や学校の問題集について、基本問題を解説なしで自力で解けるようにすることを優先します。
大学受験を意識すると、
「どの参考書を使えばいいですか?」
「高1のうちに何冊終わらせればいいですか?」
ということが気になるかもしれません。
しかし、参考書を買ったことや、最後のページまで進んだことが、そのまま学力にはなりません。
私が高校生を指導していると、問題集を進めているのに、例題の解説を読んだところで学習を終えてしまっているケースがよくあります。
本当によく見るのが、
問題を見る
↓
分からない
↓
解説を読む
↓
「分かった」と思う
↓
次の問題へ進む
というものです。
これでは「理解したつもりの問題」は増えても、自力で解ける問題が増えているとは限りません。
そこで、一つの例題を学習したら、
① 解説を読んで考え方を理解する
↓
② 解説を閉じる
↓
③ 同じ問題や類題を自力で解く
↓
④ 間違えたら原因を確認する
↓
⑤ 数日後にもう一度解く
↓
⑥ 節末問題などで、どの考え方を使うのか自分で判断する
というところまで進めます。
参考書を一冊終わらせるのに予定より時間がかかっても構いません。
参考書は「何冊終えたか」ではなく、「その一冊から自力で解ける問題をどれだけ増やしたか」を見ます。
学校や予備校の進度に合わせていれば大丈夫?
学校や予備校の授業に出て予定どおり進んでいても、習った内容を自力で解けなければ、大学受験に必要な学力がそのまま身についているとは限りません。
特に進度の速い高校や予備校では、
「高1で数Ⅰ・Aが終わった」
「もう数Ⅱ・B・Cまで進んでいる」
ということがあります。
早い進度そのものが問題なのではありません。
現在習っている内容を理解し、基本問題を自力で解けているのであれば、そのまま進んで構いません。
ただし、
「学校では数Ⅱまで終わった」と「本人が数Ⅱまで自力で使える」は別です。
学校の授業では先生の説明を聞いて理解できても、家で問題集を開いたときに最初の式を立てられないことがあります。
その場合には、学校の進度に合わせて新しい問題だけを増やすのではなく、必要な範囲を復習します。
場合によっては、高校数学より前の内容まで戻ることもあります。
学校や予備校の授業はそのまま受けながら、家庭学習では、
新しい内容を習う
↓
何も見ずに解いてみる
↓
解けなければ原因を確認する
↓
必要なところまで戻る
↓
類題で確認する
という時間を作ります。
学校や予備校の「進んだ範囲」ではなく、本人が実際に使える範囲を見ながら家庭学習の内容を決めます。
高1から完璧な3年間の勉強計画を作る必要はある?
高1の段階で、高3の大学入試までの勉強内容を細かく固定する必要はありません。
大きな予定は立てつつ、定期テストや模試、学校の進度、志望校の変化に応じて修正していきます。
たとえば高1の4月に、
「夏までに数Ⅰ・Aを終わらせる」
「高1の終わりまでに数Ⅱ・B・Cへ進む」
「高2から本格的な入試問題を始める」
と3年間の予定を細かく決めたとします。
しかし、実際に勉強を始めると、
- 思ったより数学の復習に時間が必要だった
- 定期テストで特定の単元につまずいた
- 模試で以前習った単元を使えなかった
- 英語の基礎に不足が見つかった
- 志望する学部が変わった
- 必要になる理科の科目が具体的になった
といった変化が出てきます。
このとき、
「最初に決めた計画から遅れるから」
という理由で復習を減らして先へ進む必要はありません。
高1では、
年間のおおまかな予定
↓
学期ごとの目標
↓
1週間の勉強
↓
定期テスト・模試で確認
↓
次の予定を修正
という形にしておけば、途中で課題が見つかっても対応できます。
3年間の計画は「守るもの」ではなく、実際の学習結果を見ながら更新していくものとして作ります。
高1の勉強計画で失敗しないために確認したいこと
最後に、ここまでの内容をまとめて確認してみましょう。
□ 参考書を終わらせることだけが目標になっていない
□ 例題の解説を読んだあと、類題を自力で解いている
□ 数日後にも同じ内容を解けるか確認している
□ 学校・予備校の進度と本人の定着度を分けて考えている
□ 分からない数学は必要な前提単元まで戻っている
□ 定期テストの点数だけでなく、間違えた原因を確認している
□ 模試の偏差値・判定だけでなく、できなかった内容を確認している
□ テストや模試の結果を次の勉強内容へ反映している
□ 数学が苦手でも英語の学習を完全に止めていない
□ 志望大学で必要になる科目を確認している
□ 勉強時間だけでなく「何ができるようになったか」を確認している
□ 3年間の予定を必要に応じて変更している
このチェックリストで確認したいのは、予定どおり勉強できたかだけではありません。
「計画どおり勉強しているのに、自力でできることが増えていない」ときに、そのまま同じ勉強を続けていないかを確認します。
参考書の進め方を変えるのか、数学の前提単元まで戻るのか、科目配分を変えるのかは、生徒によって違います。
高1の段階からこの見直しを繰り返しておけば、最初に作った計画と実際の学力が離れたまま、高2・高3へ進むことを防ぎやすくなります。
理系を目指す高1生が高2までにやっておきたいことは?
高2までにやっておきたいのは、難しい問題を先取りすることよりも、高1で習った数学・英語の基礎を自力で使える状態にし、高2から増えていく数学・理科の学習に対応できる準備をしておくことです。
高1の終わりが近づくと、
「高2になる前に数Ⅱ・B・Cを先取りしたほうがいい?」
「理系なら物理や化学も始めたほうがいい?」
と気になるかもしれません。
しかし、高校によって数学・理科の進度は異なります。
高1で数Ⅰ・Aを中心に学習する学校もあれば、高1の段階ですでに数Ⅱへ進んでいる学校もあります。
そのため、
「高1の3月までに全員がここまで終わらせる」
という進度を一律に決める必要はありません。
それよりも確認したいのは、学校ですでに習った内容を本人がどの程度使えるようになっているかです。
たとえば数学なら、
- 三角比の公式は覚えているが、問題に合わせて使えない
- 正弦定理と余弦定理のどちらを使うのか判断できない
- 必要条件・十分条件・必要十分条件の区別が曖昧
- 図形の性質を公式や定理として暗記しているだけ
- データの分析で計算はできるが、表やグラフを読み取れない
という状態が残っていれば、高2へ進む前に復習しておきたいところです。
高2へ進む前には、「数Ⅰ・Aを一通り習ったか」だけではなく、「高1で習った数学を、別の問題でも自分で使える状態になっているか」を確認します。
数学・英語はどのような状態なら高2の内容へ進んでいい?
数学は、高1で習った基本的な公式や考え方を問題に応じて自分で選んで使えること、英語は英単語・英文法などの基礎学習を継続し、学校で扱った英文を自分で読めることを、高2へ向けた一つの目標にします。
ただし、
「高1の内容を全部完璧にしなければ高2へ進めない」
という意味ではありません。
高2になれば学校では新しい内容を学びます。
そこで必要なのは、
「できている内容」と「高2になっても復習を続ける内容」を分けておくことです。
高1で学ぶ数Ⅰ・Aの範囲を整理しておく
まず、高1で学習することの多い数Ⅰ・Aについて、どの内容に苦手が残っているのかを整理します。
学校によって学習する順番には違いがありますが、大きく分けると次のような内容があります。
| 科目 | 主な内容 |
|---|---|
| 数学Ⅰ・数と式 | 式の計算、実数、不等式、集合と命題、必要条件・十分条件など |
| 数学Ⅰ・二次関数 | 二次関数のグラフ、最大・最小、二次方程式・二次不等式との関係など |
| 数学Ⅰ・図形と計量 | 三角比、三角比の相互関係、正弦定理、余弦定理など |
| 数学Ⅰ・データの分析 | 分散、標準偏差、箱ひげ図、散布図、相関など |
| 数学A・図形の性質 | 三角形・円などの図形の性質 |
| 数学A・場合の数と確率 | 場合の数、順列、組合せ、確率など |
| 数学A・数学と人間の活動 | 整数など、学校で扱った内容 |
高1の終わりには、
「数Ⅰ・Aが苦手」
とまとめて考えるのではなく、
「図形と計量はできるが、集合と命題が曖昧」
「場合の数では順列と組合せの使い分けができない」
というように、単元ごとに現在の状態を分けておくと、高2で何を復習すればよいかが分かりやすくなります。
数学は「公式を覚えた」から「自分で使える」へ進める
たとえば数学Ⅰの「図形と計量」で三角比を学習した場合、
- sin・cos・tanの意味が分かる
- 基本的な公式を使える
- 与えられた辺や角から必要な三角比を選べる
- 正弦定理・余弦定理のどちらを使うのか判断できる
というところまで確認します。
単に、
「正弦定理の公式を書ける」
「余弦定理を暗記している」
だけではありません。
問題を読んで、
何が分かっているのか
↓
何を求めるのか
↓
辺と角にどのような関係があるのか
↓
どの公式を使えばよいのか
を自分で考えられることが必要です。
また、三角比を単独の公式として覚えるだけでなく、今後学習する内容とのつながりも意識しておきます。
たとえば三角比を座標や単位円と結びつけて考えられるようにしておくことは、その後の三角関数を理解する際にも役立ちます。
高1の段階では、先の単元を急いで覚えるというより、今習っている内容を次の数学へつながる形で理解しておくことを優先します。
必要条件・十分条件は「言葉の暗記」で終わらせない
数学Ⅰの「集合と命題」では、
「必要条件」
「十分条件」
「必要十分条件」
という言葉が出てきます。
ここでも、言葉の定義だけを覚えて問題の形で判断するのではなく、
「どちらからどちらが成り立つのか」
を自分で確認できるようにします。
たとえば、
「AならばBが成り立つのか」
「BならばAも成り立つのか」
を一つずつ確認して、必要条件・十分条件を判断します。
高2以降の数学でも、条件を正確に読み取ることは必要になります。
そのため、高1の段階から、公式や用語の名前を覚えるだけではなく、条件の意味を考える習慣をつけておきます。
図形の性質は「自分で図を描いて考える」ところまで確認する

数学Aの「図形の性質」では、定理を覚えているだけではなく、問題文から自分で図を描き、条件を書き込んだうえで、どの定理を使えばよいのかを考えられることを目標にします。
図形の問題が苦手な生徒の場合、定理を覚えていないことだけが原因とは限りません。
問題文を読んでも、
- どのような図形なのか分からない
- 与えられた条件を図に書き込めない
- どの線分や角に注目すればよいのか分からない
- 図を見ても、以前習った図形の性質と結びつかない
ということがあります。
そのため、高2へ進む前には次のようなところまで確認します。
□ 問題文を読んで自分で図を描ける
□ 与えられた長さ・角・比などを図に書き込める
□ 三角形の基本的な性質を使える
□ 中学数学で習った相似を自分で見つけられる
□ 円周角など、円に関する基本的な性質を使える
□ 方べきの定理を図の中で使える
□ メネラウスの定理を使える図形を見つけられる
□ チェバの定理を使える図形を見つけられる
□ メネラウスの定理・チェバの定理で使う比を、図を見ながら正しい順番で式にできる
□ 定理の名前を教えられなくても、図から必要な考え方を選べる
特に、メネラウスの定理とチェバの定理は、公式だけを暗記して使おうとしないことが大切です。
たとえばメネラウスの定理を学習したときに、
「3つの比を掛ければよい」
とだけ覚えてしまうと、少し図の形が変わっただけで、
「どの三角形を見ればいいの?」
「どの3つの比を使えばいいの?」
となることがあります。
そこで、まず問題文から図を描き、
① どの三角形に注目するのか
② 1本の直線がその三角形の3辺、またはその延長とどこで交わっているのか
③ それぞれの辺で、どの線分の比を取るのか
を図の上で一つずつ確認します。
そのうえでメネラウスの定理の式を作ります。
チェバの定理でも同じです。
公式を先に思い出すのではなく、
① 基準となる三角形を見つける
② 3つの頂点から伸びる線を確認する
③ それぞれが対辺と交わる点を確認する
④ 図を見ながら3つの比を整理する
という順番で考えます。
このようにすると、
「メネラウスだからこの式」
「チェバだからこの式」
という暗記ではなく、図のどの部分について比を作っているのかを確認しながら定理を使えるようになります。
公式だけを覚えて問題に当てはめるのではなく、自分で図を描き、三角形・直線・線分の比を確認しながら使うことを重視します。
高2へ進む前の「図形の性質」の到達目標は、
問題文を読む
↓
自分で図を描く
↓
条件を書き込む
↓
三角形・円・相似などの関係を見つける
↓
メネラウスの定理・チェバの定理など、必要な定理を選ぶ
↓
図を見ながら正しく式を立てる
という流れを、できるだけ自分で行えることです。
図形の性質では、「定理をいくつ覚えているか」よりも、問題文から図を作り、その図の中から必要な関係を見つけて定理を使えるかを、高1の到達度として確認します。
データの分析は計算だけでなく資料を読み取る
数学Ⅰの「データの分析」では、
- 平均
- 分散
- 標準偏差
- 四分位数
- 箱ひげ図
- 散布図
- 相関
などを学習します。
ここでは、計算方法だけを覚えるのではなく、表・グラフ・データから何が分かるのかを読み取れることも確認します。
学校で「データの分析」を学習し終わっているのであれば、大学入学共通テストの過去問題などから、学習済みの範囲だけを見てみる方法もあります。
高1の段階で、共通テストを時間どおりに最初から最後まで解く必要はありません。
目的は高得点を取ることではなく、
「学校で習った内容が、大学入試ではどのような形で使われるのか」
を知ることです。
問題文、表、グラフなどから必要な情報を読み取り、
「どの知識を使えばよいのか」
を考えてみます。
こうすることで、学校で学習している数学と大学入試の数学を、別々のものとして考えにくくなります。
高2へ進む前の数学チェック
高1で学習した範囲について、次の項目を確認してみてください。
□ 学校で習った基本問題を解説なしで解ける
□ 三角比の公式を問題に応じて使える
□ 正弦定理・余弦定理を問題に応じて選べる
□ 必要条件・十分条件・必要十分条件を自分で判断できる
□ 場合の数で「並べる」「選ぶ」の違いを説明できる
□ 図形の性質を中学数学と結びつけて考えられる
□ データの分析で表やグラフから必要な情報を読み取れる
□ 間違えた問題を数日後にも自力で解ける
□ 自分が苦手な単元を具体的に挙げられる
すべてにチェックが入らなくても構いません。
大切なのは、
「数Ⅰ・Aが苦手」という大きなくくりではなく、どの単元の、どの段階で止まっているのかを把握していることです。
高2になってからも復習する単元が分かっていれば、新しい数学を学びながら補うことができます。
英語は「高1で終わらせる科目」ではなく継続できる状態にする
英語については、高1の終わりまでにすべての受験英語を完成させる必要はありません。
高2へ向けて確認したいのは、
- 英単語の学習を継続している
- 一度覚えた単語を繰り返し復習している
- 学校で習った基本的な英文法を理解している
- 英文の主語・動詞などを確認しながら読める
- 学校で扱った英文を自分で読み直せる
- 定期テストで間違えた内容を復習している
といった点です。
特に避けたいのは、
「理系だから数学を優先する」
という理由で、英語の学習を長期間止めることです。
高2になると数学の内容が増え、理科の学習も本格化していきます。
その段階で英単語や基本的な英文法から大きくやり直すことになると、複数科目の復習が重なります。
そのため高1では、英語を完成させることより、高2になっても英単語・英文法・英文読解の学習を継続できる土台を作っておくことを考えます。
数学も英語も、高1の内容をすべて完璧にするのではなく、
「高2で新しい内容を学びながら、残った弱点を修正できる状態」
にしておくことを目指します。
高2になる前に志望校の入試科目を確認する?
高2になる前には、志望大学が一校に決まっていなくても、候補となる大学・学部の入試科目や配点を一度確認しておくことをおすすめします。
これは、
「高1のうちに第一志望を決めなければならない」
という意味ではありません。
たとえば、
「国公立の理工系に興味がある」
「私立の理工学部も考えている」
「医学・薬学系も少し気になっている」
という段階でも構いません。
候補となる大学・学部について、
- 国公立か私立か
- 数学はどの範囲まで必要か
- 英語は必要か
- 理科は何科目必要か
- 物理・化学・生物など、どの科目を選択できるか
- 国公立なら大学入学共通テストで何が必要か
- 個別試験では何が必要か
- 科目ごとの配点はどうなっているか
を確認します。
ここでの目的は、
「志望校を今すぐ一校に決めること」ではなく、「高2から何を勉強する必要があるのかを把握すること」
です。
たとえば志望する可能性のある大学で物理と化学が必要になることが分かれば、高2から理科をどのように進めるかを考えやすくなります。
反対に、入試科目を確認しないまま、
「理系だから、とりあえず数学を先取りする」
「友達が物理を始めたから自分も始める」
と決めると、本当に必要な科目とのずれが生じることがあります。
また、国公立理系を考えている場合は、数学・英語・理科だけではなく、共通テストで必要となる国語・地歴公民・情報についても確認しておきます。
高1からすべてを受験用問題集で勉強する必要はありませんが、学校の授業や定期テストを利用して基礎を維持しておけば、高2・高3になってから一から戻る範囲を減らせます。
実際に必要となる科目・配点・数学の出題範囲などは、大学・学部・入試方式によって異なります。
受験科目を決めるときには、志望大学が公表している最新年度の入学者選抜要項・募集要項で確認してください。
高2になる前に「できていること」と「高2でも続けること」を分ける

高1の終わりには、すべての弱点をなくそうとするのではなく、「高1でできるようになったこと」と「高2でも復習を続けること」を分けます。
たとえば、数学の内容については、次のように整理できます。
| 科目・内容 | 高1終了時の状態 | 高2での対応 |
|---|---|---|
| 三角比 | 基本問題は自力で解ける | 定期的に既習範囲として確認 |
| 正弦定理・余弦定理 | 使い分けが不安定 | 高2でも類題・混合問題で復習 |
| 集合と命題 | 必要条件・十分条件が曖昧 | 春休み〜高2前半で復習 |
| 図形の性質 | 定理は知っているが使えない | 中学図形とのつながりから確認 |
| データの分析 | 基本は理解 | 共通テストの学習済み問題などにも触れる |
| 英単語 | 継続できている | 高2でも毎日継続 |
| 英文法 | 一部苦手あり | 学校学習と並行して弱点を補う |
| 理科 | 学校の基本問題は解ける | 高2の履修内容へつなげる |
このように整理すれば、
「春休みに数Ⅰ・Aを全部最初からやり直す」
必要はありません。
復習が必要なところへ時間を使えます。
高2になる前の確認チェックリスト
高1の終わりに次の項目を確認してみてください。
□ 数Ⅰ・Aの基本問題を解説なしで解ける単元が増えている
□ 三角比の公式を問題に応じて使える
□ 正弦定理・余弦定理を自分で選べる
□ 必要条件・十分条件・必要十分条件を判断できる
□ 場合の数で順列・組合せを意味から考えられる
□ 図形の性質を中学数学と結びつけて考えられる
□ データの分析で資料・グラフを読み取れる
□ 数学の苦手単元を本人が具体的に把握している
□ 英単語・英文法の学習を継続している
□ 学校で習った英文を自分で読める
□ 学校で習った理科の基本内容を理解している
□ 興味のある大学・学部がいくつかある
□ 候補となる大学の入試科目を確認している
□ 国公立志望なら共通テストで必要な科目も確認している
□ 高2でも復習を続ける単元・科目が決まっている
チェックが入らない項目があったとしても、
「高1の勉強が失敗だった」
と考える必要はありません。
確認したいのは、
「高2になってから、いつ・どのように補うのかが決まっているか」
です。
たとえば数Ⅰ・Aの一部に苦手が残っていても、
「春休みに復習する」
「高2の数学と並行して週末に復習する」
と決められていれば、次の計画へつなげられます。
反対に、
「数Ⅰ・Aは学校で一度習ったから終わり」
としてしまうと、高2・高3で以前の内容が必要になったときに、再び大きく戻ることになります。
高1の大学受験の勉強計画では、高1の終わりを「予定した範囲まで進んだか」の確認だけで終わらせず、「できていること」と「高2でも補うこと」を整理して、高2の数学・英語・理科へつなげていきます。
高2へ進む前の数学の到達基準を具体的にする
高1数学の到達度は、「数Ⅰ・Aを一通り習ったか」ではなく、各単元の基本的な考え方を理解し、問題を見て必要な公式・定理・解法を自分で選べるかで確認します。
高2になる前に、数Ⅰ・Aのすべての入試問題を解ける必要はありません。
私なら、まず次の3段階で確認します。
| 段階 | 到達状態 |
|---|---|
| ① 理解できる | 公式・定理・解法について、解説を読めば意味が分かる |
| ② 自力で解ける | 教科書・学校問題集の基本問題や類題を、解説なしで解ける |
| ③ 自分で選んで使える | 単元名や使う公式を教えられなくても、問題を読んで必要な考え方を選べる |
高1の終わりには、学校で学習した主要な内容について②までできる範囲を増やし、定着した単元については③まで進めておくことを一つの目標にします。
では、数Ⅰ・Aの各単元で具体的に何ができればよいのかを見てみましょう。
数学Ⅰ「数と式」の到達基準
数と式では、計算方法を覚えるだけでなく、その後の数学で使う計算を正確に行えることを確認します。
高2へ進む前には、少なくとも次の内容を確認します。
□ 式の展開を正確にできる
□ 因数分解を基本的な形だけでなく、式の特徴を見て行える
□ 平方根を含む式を正確に計算できる
□ 分母の有理化ができる
□ 絶対値の意味を理解している
□ 一次不等式を解ける
□ 条件に応じて場合分けを考えられる
□ 集合を記号だけでなく、要素の関係として理解できる
□ 命題の真偽を判断できる
□ 必要条件・十分条件・必要十分条件を判断できる
特に理系では、式の計算で時間がかかったり、符号や分数の処理が不安定だったりすると、その後の数学でも計算部分で止まりやすくなります。
「因数分解の単元だから因数分解をする」と分かっている問題だけでなく、別の単元の途中に因数分解が出てきても自然に使えるところまで確認しておきたいところです。
また、必要条件・十分条件については、
「必要条件という言葉の意味を覚えている」
だけではなく、
A⇒BとB⇒Aをそれぞれ確認し、どちらが成り立つのかを自分で判断できること
を目標にします。
数学Ⅰ「二次関数」の到達基準
二次関数では、公式を使って計算するだけでなく、式・グラフ・条件を結びつけて考えられることを確認します。
高2へ進む前には、
□ (y=ax^2+bx+c) のグラフの形を考えられる
□ 平方完成をして頂点・軸を求められる
□ 式からグラフを描ける
□ グラフから最大値・最小値を考えられる
□ 定義域がある場合の最大・最小を考えられる
□ 二次方程式とグラフの交点を結びつけて考えられる
□ 判別式が何を表しているのか理解している
□ 二次不等式をグラフと結びつけて解ける
□ 条件から二次関数の式を決められる
といったところを確認します。
特に、
二次方程式・二次不等式・二次関数を別々の公式として覚えるのではなく、グラフを通してつなげて考えられること
が重要です。
数学Ⅰ「図形と計量」の到達基準
図形と計量では、三角比の公式を覚えているだけでなく、図から必要な辺・角の関係を読み取り、使う公式を自分で選べることを目標にします。
確認したいのは次のような内容です。
□ sin・cos・tanが何を表しているのか説明できる
□ 三角比の値を求められる
□ 三角比の相互関係を使える
□ 図を見て必要な三角比を選べる
□ 正弦定理を使える
□ 余弦定理を使える
□ 正弦定理と余弦定理のどちらを使うのか判断できる
□ 三角形の面積を三角比を使って求められる
□ 問題文から自分で図を描いて条件を書き込める
ここで特に確認したいのが、正弦定理と余弦定理の使い分けです。
公式を二つとも書けても、
「この問題ではどちらを使うのか」
が分からなければ、模試や大学入試では使えません。
問題を見たら、
何が分かっているか
↓
何を求めるのか
↓
辺と角にどのような関係があるか
↓
どの定理を使うか
まで本人が判断できるかを確認します。
数学Ⅰ「データの分析」の到達基準
データの分析では、平均や標準偏差を計算できるだけでなく、表・グラフ・データから何が読み取れるのかを考えられることを目標にします。
確認したいのは、
□ 平均値の意味が分かる
□ 分散・標準偏差が何を表しているのか分かる
□ 四分位数を求められる
□ 箱ひげ図を読み取れる
□ 散布図を読み取れる
□ 相関について判断できる
□ 複数のデータを比較できる
□ 資料から問題に必要な情報を取り出せる
といった内容です。
この単元は、計算方法だけを覚えて終わらせないことが大切です。
たとえば、
「標準偏差を計算してください」
という問題だけではなく、
「二つのデータを比較すると何が分かるのか」
まで考えられるようにします。
学校でこの範囲を学習し終わっているのであれば、大学入学共通テストの学習済み範囲の問題を見てみるのも一つの方法です。
高1では点数を競うためではなく、学校で習った知識が、資料を読み取る問題の中でどのように使われているのかを確認するために利用します。
数学A「場合の数と確率」の到達基準
場合の数と確率では、P・Cなどの公式を使えることよりも、まず「何を数えているのか」を自分で整理できることを重視します。
高2へ進む前には、
□ 樹形図などを使って場合を書き出せる
□ 「並べる」と「選ぶ」の違いを説明できる
□ 順列を使う理由が分かる
□ 組合せを使う理由が分かる
□ PとCを問題に応じて使い分けられる
□ 「少なくとも」などの条件を整理できる
□ 余事象を利用できる
□ 確率を「場合の数」と結びつけて考えられる
□ 条件を整理して数え漏れ・重複を確認できる
実際に私が指導した生徒でも、
「これはPを使いますか? Cを使いますか?」
ということばかりを気にしていた生徒がいました。
しかし、対話して確認すると、公式の使い分け以前に、
「並べ方」と「選び方」の違い
を十分に理解できていませんでした。
そこで、いったんP・Cの公式を使う練習を止め、樹形図を使って一つずつ場合を書き出しました。
そして、
並べ方は順番が変われば別の場合になる。
選び方は順番が変わっても同じ組合せになる。
という違いを確認しました。
その意味が分かってから公式へ戻ると、本人もPとCのどちらを使うのかを考えられるようになりました。
このように、公式を使えるかだけではなく、その公式を使う前の考え方を理解しているかまで確認します。
数学A「図形の性質」の到達基準
図形の性質では、定理を暗記するだけでなく、中学数学で学習した図形の性質も使いながら、自分で理由を考えられることを目標にします。
確認したいのは、
□ 三角形の基本的な性質を使える
□ 角の二等分線などの性質を使える
□ 円に関する基本的な性質を使える
□ 円周角など中学数学の内容も必要に応じて使える
□ 相似な三角形を自分で見つけられる
□ 方べきの定理を使える
□ 定理を使う理由を図から考えられる
□ 補助線が必要な問題で、図の関係を考えられる
といったところです。
ここでも、
「方べきの定理だから、この公式」
という覚え方だけにしません。
以前の指導で、方べきの定理が分からない生徒に対して、公式を覚え直してもらうのではなく、円周角と相似とのつながりを確認したことがあります。
本人がその関係に気づくと、
「方べきの定理は公式として無理に覚えなくてもよい」
と理解できました。
高校数学で新しい定理が出てきても、以前習った内容から理由を考えられるかという点も、高2以降につながる力になります。
数学A「数学と人間の活動」は学校で扱った内容を確認する
数学Aの「数学と人間の活動」については、学校で扱った内容を中心に確認します。
たとえば整数に関する内容を学習したのであれば、
□ 約数・倍数について基本的な考え方を使える
□ 素因数分解を利用できる
□ 最大公約数・最小公倍数を求められる
□ 学校で扱った整数に関する基本問題を自力で解ける
などを確認します。
ここも、用語や計算方法を覚えただけで終わらせず、学校で学習した基本問題を解説なしで解けるかを基準にします。
高2へ進む前に「単元名を隠して」確認する
各単元の基本問題ができるようになったら、最後に単元名を教えずに問題を解いてみます。
これは、高1数学の到達度を確認するうえで非常に重要です。
学校の問題集では、
「二次関数」
「三角比」
「場合の数」
と単元ごとに問題が並んでいます。
この状態では、問題を見る前から使う内容がある程度分かっています。
しかし、模試や大学入試ではそうではありません。
そこで、
- 数と式
- 二次関数
- 三角比
- 場合の数
- 図形の性質
などから基本問題を混ぜて出し、
「何の単元の問題なのか」「どの考え方を使えばよいのか」を本人が判断できるか
を確認します。
私の指導でも、一つの単元を学習したあとに、別の単元も混ぜて問題を出します。
ここで初めて、
「単元ごとなら解けるけれど、混ざると分からない」
ということが見つかる場合があります。
その場合は、公式をもう一度暗記するのではなく、問題文から条件を読み取り、何を使うのかを選ぶ練習を増やします。
高1数学の到達度を4段階で確認する
最終的には、各単元を次の4段階に分けておくと、高2からの復習計画を立てやすくなります。
| 到達段階 | 状態 | 高2での対応 |
|---|---|---|
| A:自分で選んで使える | 単元名がなくても必要な考え方を選んで解ける | 定期的な復習で維持 |
| B:基本問題は自力で解ける | 単元が分かれば基本問題・類題を解ける | 混合問題で解法選択を練習 |
| C:解説を見れば分かる | 説明を読めば理解できるが、一人では解けない | 基本例題→類題を繰り返す |
| D:前提内容から不明 | 解説を読んでも理解しにくい | 必要な前提単元まで戻る |
高1の終わりにすべての単元がAである必要はありません。
たとえば、
- 三角比……A
- 二次関数……B
- 場合の数……C
- 図形の性質……B
という状態でも構いません。
重要なのは、本人が「何ができていて、どこから復習する必要があるのか」を把握していることです。
高2になったら、Aの単元は定期的に確認する程度にし、B・Cの単元へ復習時間を多く使います。
Dがあれば、春休みなどを利用して前提内容まで戻ります。
高1数学の到達目標は、数Ⅰ・Aを「終わらせること」ではありません。
学校で習った範囲について、基本問題を解説なしで解ける単元を増やし、さらに定着した単元では、問題を見て必要な考え方を自分で選べるところまで進めることです。
理系を目指す高1生からよくある質問
高1から大学受験の勉強を始めるのは早すぎる?
高1から大学受験を意識して勉強を始めるのは、早すぎることではありません。
ただし、高1から難しい入試問題をたくさん解いたり、何冊もの参考書を先取りしたりする必要はありません。
理系の高1で優先したいのは、学校で習っている数学・英語の基礎を定着させ、理科も授業で習った基本内容を自力で使えるようにしていくことです。
特に数学では、「数Ⅰ・Aを終わらせた」という進度だけではなく、
- 基本問題を解説なしで解ける
- 類題でも同じ考え方を使える
- 単元名が書かれていなくても必要な解法を選べる
という状態を目指します。
高1から本気で勉強するとは、難しい内容を早く始めることではなく、高2・高3で必要になる基礎を残さないようにすることだと考えてください。
志望大学がまだ決まっていなくても勉強計画は立てられる?
志望大学が一校に決まっていなくても、高1の大学受験勉強計画は立てられます。
高1では、
「国公立理系を考えている」
「私立の理工学部に興味がある」
「医学・薬学系も候補にしている」
といった段階でも構いません。
まずは候補となる大学・学部について、入試科目・数学の出題範囲・必要な理科・科目ごとの配点などを確認します。
そのうえで、数学・英語を継続しながら、学校で習っている理科を定着させます。
志望校が具体的になったら、必要な科目や現在の学力に合わせて計画を修正していけばよいでしょう。
理系なら高1から数学を先取りしたほうがいい?
学校で習っている数学が十分に定着している場合は先取りしても構いませんが、先取りそのものを高1の目標にする必要はありません。
たとえば数Ⅰ・Aを習っていても、
「正弦定理と余弦定理を使い分けられない」
「必要条件・十分条件を判断できない」
「場合の数でPとCのどちらを使うのか分からない」
「図形の性質で自分から図を描いて考えられない」
という状態なら、先へ進む前に現在の内容を復習したほうがよい場合があります。
反対に、学校で習った基本問題を解説なしで解き、混合問題でも使う考え方を自分で選べるのであれば、次の単元へ進むことを検討できます。
「難関大学を目指すから先取りする」のではなく、「現在の内容が定着しているので次へ進める」という順番で考えます。
高1から国公立大学を目指すなら何を勉強すればいい?
高1では数学・英語を中心に基礎を作り、理科は学校で習った内容を定着させながら、国語・地歴公民・情報も学校の授業を利用して学習を続けます。
国公立理系を目指すからといって、高1からすべての科目を受験問題集で勉強する必要はありません。
数学・英語に時間を使いながら、その他の科目についても定期テストなどを利用して基礎を残しておきます。
また、大学・学部によって必要な共通テストの科目や個別試験の科目、配点は異なります。
候補となる大学が出てきたら、大学が公表している最新の入学者選抜要項・募集要項を確認し、その内容を勉強計画へ反映させるようにしてください。
高1から難関大学を目指す場合、参考書は何冊やればいい?
参考書の冊数を目標にするのではなく、現在使っている参考書や学校問題集の基本問題を自力で解けることを優先します。
参考書を何冊終えても、
「解説を読めば分かるけれど、自分では解けない」
という問題が多ければ、十分に定着しているとはいえません。
一つの問題を学習したら、
解説を理解する→解説を閉じて解く→類題を解く→数日後にもう一度解く
という流れで確認します。
さらに、複数の単元を混ぜた問題でも、使う公式や解法を自分で判断できるようにします。
難関大学を考えている場合も、「何冊終わったか」より「学習した問題をどの程度自分で再現できるか」を確認しながら参考書を進めます。
高1ですでに数学が苦手でも理系を目指せる?
高1の段階で数学が苦手でも、すぐに理系を諦める必要はありません。まず、どの単元・どの段階から分からなくなっているのかを確認します。
「数学が苦手」といっても、
- 計算で間違える
- 公式の意味を理解していない
- 解説を見れば分かるが一人では解けない
- 問題文から使う公式を選べない
- 中学数学の内容とのつながりが分からない
など、原因は同じではありません。
たとえば高校の図形問題ができなくても、高校数学を最初から全部やり直すのではなく、必要に応じて中学校の相似や円周角まで戻れば理解できる場合があります。
大切なのは、難しい問題を追加することではなく、「どこから分からないのか」を具体的にして、必要なところまで戻って自力で解ける問題を増やすことです。
まとめ 高1は「先取り」より高2につながる基礎を作る
理系の高1の大学受験勉強計画では、3年間の予定を細かく決めたり、難しい参考書を早く進めたりすることより、学校で習った内容を自力で使える状態にすることを優先します。
この記事の重要なポイントを整理すると、次の5つです。
- 高1では数学・英語を継続し、理科は学校で習った基本内容を定着させる
- 数学は「解説を読めば分かる」で終わらせず、解説なしで基本問題・類題を解けるところまで確認する
- 数Ⅰ・Aでは、公式を覚えるだけでなく、問題を見て必要な公式・定理・解法を自分で選べることを目指す
- 年間計画・週間計画は固定せず、定期テストや模試で見つかった課題に合わせて修正する
- 高2になる前に、志望大学・学部の入試科目を確認し、「できていること」と「高2でも復習すること」を分ける
高1の段階で確認したいのは、
「どこまで先取りしたか」ではなく、「今まで習ったところまでを、どの程度自力で使えるようになっているか」
です。
まずは、現在使っている数学の教科書や学校問題集から、以前習った基本問題を数問選び、何も見ずに解いてみるところから始めてください。
そこで解けなかった場合も、すぐに新しい参考書を増やすのではなく、
「公式を忘れていたのか」
「考え方を理解していなかったのか」
「理解しているけれど、問題から使う方法を選べなかったのか」
まで確認すると、次に何を勉強すればよいのかが具体的になります。

「高1の今から何を勉強させればよいか分からない」
「理系を希望しているけれど、すでに数学につまずいている」
「学校や予備校の勉強だけで大学受験につながるのか不安」
という場合には、現在の数学について、どこまで自力でできていて、どこから復習する必要があるのかを一度整理することをおすすめします。
私の家庭教師指導では、現在の理解度やつまずいている原因を確認したうえで、志望大学までに必要な数学の学習内容を整理しています。
高1からの数学の勉強計画や、現在の学習方法について迷っている場合は、無料相談・体験授業からご相談ください。


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